第110回 KARCコロキウムのご案内

第110回 KARCコロキウムは終了しました。ご参加ありがとうございました。


開催日時 2011年1月21日(金)  13:30〜15:30
開催場所 神戸研究所 未来ICT研究センター 第2研究棟 3階 中会議室
講演 1.「ナノドットデバイスの機能性と応用」
講演者 高橋庸夫先生 (北海道大学情報科学研究科 教授)
講演概要 ナノドットを構成要素とする単電子デバイスは、電子1個を制御できるデバイスとして注目されている。その中心は、単電子トランジスタ(SET)であり、ナノドットとそれにトンネルバリアを介して外部から電子の出入り可能な電極が取り付けられた構造をしている。ナノドットを作ることはそれほど困難ではないが、これに、トンネル抵抗が制御されたトンネルバリアを取り付けることが難しいため、せいぜいSETを作るまでの検討が多い。その次の段階として、高速応答を考えてトンネル抵抗がどこまで小さく出来るか、あるいは、電子1個をどこまで制御できるかなどの基本的な議論はあまりなされていない。ここでは、Siの単電子デバイスをベースに、これらを検証すると共に、あまり知られていない、単電子デバイスの特徴について紹介する。
講演 2.「ブラウン運動に基づいたコンピューティング」
講演者 李佳先生 (中国重慶大学計算機学院 教授)
講演概要 ナノスケールの分子や原子などの微粒子は熱によって絶えずしかもランダムに動き回っている。そのようなブラウン運動の不規則さは、厳密に制御された挙動を要求する従来の計算モデルと相容れないものと考えられてきた。特に、従来のモデルではいかにノイズを抑えるか、あるいはノイズによって引き起こされた誤作動をどのように訂正するかを重点に開発されてきた。しかし、タンパク質モータに代表されるような生体分子の系において、ランダム性を伴う熱ゆらぎこそが、分子の多様でダイナミックな動作を活性化する重要な役割を担っている。さらに、ノイズおよびゆらぎに駆動されながら、常に空間内をランダムに飛び回る原子や分子を信号と捉え、そのブラウン運動を計算の過程において積極的に利用する理論が確立されつつある。そこでは、信号のランダムな動きを従来の観点同様に情報の損失あるいは制御の欠落と見なして極力排除するのではなく、むしろその絶え間なく動きまわる性質が計算プロセス全体の状態空間の探索に大いに利用できることが最近の研究で分かってきた。
使用言語 日本語
参加費 無料
担当者 情報通信研究機構 神戸研究所 未来ICT研究センター
ナノICTグループ 主任研究員 ペパー フェルディナンド