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情報通信研究機構では国際原子時(TAI)や日本標準時(JST)の高精度化を目的に原子泉型一次周波数標準器の開発を行っています。
原子ビームを用いた従来の標準器では、原子の速度が速すぎるため基準信号の正確な測定には限界が生じていました。そこで、更に高精度な標準器を目指して、レーザー冷却技術を用いた周波数標準器が考え出されました。レーザー冷却とはレーザー光の輻射力によって原子の速度を遅くさせ、原子を極低温まで冷やすことができる技術です。このレーザー冷却の研究は1980年代後半から急速に発展し、1997年と2001年のノーベル物理学賞の受賞対象にもなっています。原子泉型周波数標準器とは、このレーザー冷却技術が核となっている周波数標準器です。
原子泉型周波数標準器の信号が観測されるまでの過程を以下に記します。
1. セシウム原子に三次元六方向からレーザーを当て原子を減速させ一箇所に集める(レーザー冷却)
2. 冷却され集められた原子集団をレーザー光によって真上方向に打ち上げる
3. 打ち上げられた原子集団は、途中におかれたマイクロ波共振器内でマイクロ波と1回目の相互作用をする
4. マイクロ波と相互作用した原子集団はそのまま弾道飛行を続けた後、重力により落下し始める
5. 落下してきた原子集団は、再びマイクロ波共振器を通過しマイクロ波と2回目の相互作用をする
6. 2回の相互作用の後、さらに落下してくる原子を検出する
このように、打ち上げられた原子集団が上昇時と下降時の2回マイクロ波と相互作用をし、ラムゼー共鳴とよばれる現象を引き起こします。原子泉型標準器の場合、ラムゼー共鳴によって得られる信号の線幅は1Hz以下と非常に狭く、そのラムゼー信号の中心周波数が「秒」の基準信号として利用されます。レーザー光により真上に打ち上げられ重力により落ちてくる原子の様子が「泉」に似ているので、「原子泉」、英語では「Atomic Fountain」と呼ばれています。
次世代時刻周波数標準グループではセシウム(Cs)原子のFountain1号機、『NICT-CsF1』を開発しました。現在NICT-CsF1の正確さはおよそ2×10-15、1秒狂うのに1500万年かかるというものです。私たちは更に高精度な性能を目指して研究開発を行っています。
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