研究概要

 私たちの研究室では、高度な蛍光顕微鏡技術を用いて、細胞核の構造と機能の解析を行っています。 特に、染色体の高次構造の研究は重要な研究テーマとなっています。 以下に、個々の研究テーマについて簡単に紹介します。

分裂酵母の減数分裂期における染色体構造の解析

pombe-fig1 動画を見る

pombe-fig2

 私たちの研究グループでは、染色体のテロメア末端が、減数分裂期の特定の時期にだけ寄り集まるテロメアクラスターがおきること、そしてこのクラスターしたテロメアを引っ張るような染色体運動が起こることを発表し、多くの研究者を驚かせました。このテロメアクラスタリングの現象は、人やマウス、コーン、酵母でも起こることが他のグループから報告され、染色体構造の変化が生殖細胞をつくる過程で必須な過程ではないかと考えられています。なぜ、生物は進化の中でこの「テロメアクラスタリング」を続けて来たのだろうか? その生物学的意義はどこにあるのか?テロメアクラスタリング形成のメカニズムの解析を通 し、このような疑問に立ち向かっています。

高等動物の培養細胞における核構造の解析

mamm-fig

 ヒトなどの高等動物では、遺伝子発現を通して高次の生命現象が引き起こされるが、その「場」としての細胞核を、構造体として理解しようとしています。染色体の高次構造はもとより、核膜の働き、核マトリクスと呼ばれる実体不明の構造体、核内に存在している未知の点状構造体(nuclear dots)など、細胞核内の構造体は機能が不明なものが多い。それらの構造体の動態や機能を知ることによって、遺伝子発現、細胞周期の制御などの機能を明らかにすることを目指しています。

テトラヒメナの2つの核(大核と小核)の違いを知る

tetra-img 原生動物の繊毛虫に属するテトラヒメナは、ゾウリムシと同じ仲間で、ひとつ の細胞内に2種類の細胞核を持つのが特徴である。小核は、全ゲノムDNAを含む が、増殖期には転写に使われず、生殖分裂を行うときだけ使われる。大核は、ゲ ノムの一部が増幅したDNAが存在していて、増殖期に転写が盛んである。この2 つの核は、細胞周期の進行も異なっている。ひとつの同じ細胞質に隣接して存在 しながら、なぜ2つの異なる機能・構造の核が存在するか、この謎に挑戦している。