報道発表




 郵政省通信総合研究所(所長:飯田尚志)は、日本ビクター株式会社(代表取締役社長:守隨武雄)と共同で、ハイビジョンの2倍の解像度を持つ超高精細・広角映像伝送システム「ネットワーク・バーチャルスタジアム」システムを開発し、さらに、「研究開発用ギガビットネットワーク(JGN)」を用いて、超高精細かつ広角な4,000×1,000画素(400万画素)の動画像のライブ伝送実験に成功しました。



<背 景>

 通信総合研究所では、マルチメディア・バーチャル・ラボラトリiMVL)プロジェクトの一環として、「ギガビット多地点伝送技術の研究開発」を推進しています。この研究開発では、ハイビジョンを超える超高精細画像処理技術とその伝送技術の確立を目指しています。


<成 果>

  1.  以下の特徴を持つ超高精細・広角映像伝送システム「ネットワーク・バーチャルスタジアム」を開発し、通信・放送機構(郵政省所管の認可法人)が整備・運用している「研究開発用ギガビットネットワーク(JGN: Japan Gigabit Network)」を用いて、超高精細かつ広角な4,000×1,000画素(400万画素)の動画像ライブ伝送実験に成功しました。(実験例)国立霞ケ丘競技場(国立競技場)と通信総合研究所をATM135Mbpsで結び、サッカー映像のライブ伝送実験に成功しました。


  2. 低遅延MPEG画像伝送装置を開発しました。画像伝送における標準符号化方式であるMPEGでは、符号化に要する処理時間(遅延時間)の短縮が課題でした。本装置では、これを、180msecまで短縮しました(トップ水準)。


  3. ハイビジョンの2倍の解像度を持つ超高精細・広角映像表示装置を開発しました。この表示装置は、超高精細かつ広角な4,000×1,000画素の画像をシングルスクリーン(1画面)として表示し、従来水準を超える高画質を実現しました(世界初)。


<今 後>

 より解像度を上げた(ハイビジョンの4倍〜8倍)高精細なシステムの開発を目指します。また、より高速(低遅延)な画像伝送技術を確立し、多地点・双方向・低遅延・超高精細画像通信の実現を目指します。





【 問い合わせ先 】

郵政省通信総合研究所 情報通信部情報処理研究室 荒川 佳樹 Tel: 042-327-6851
第一研究チーム 田中 健二Tel: 042-327-5424
日本ビクター株式会社技術開発本部 佐藤 正人Tel: 0468-36-3889
広報室(報道関係窓口)Tel: 03-3289-2813





【補足資料】


  1. 低遅延MPEG画像伝送装置(高速画像符号化・復号化装置)

    HD(ハイビジョン)画像伝送ではMPEG2が標準の符号化方式となっています。HD画像を約180msの高速で、MPEG2に符号化・復号化する高速(低遅延)画像伝送装置を開発しました。これは、トップ水準です。伝送レートは、22.5Mbps、45、60、120から選ぶことができます。今回の通信実験では、この装置を2セット並列使用し伝送実験を行いました


  2. 超高精細・広角映像表示装置(プロジェクター)

    《従来技術》
    現行のHDTV(ハイビジョン)を越える超高精細画像表示技術に関しては、表示装置を複数台並べて、並列表示することにより、超高精細画像表示を実現する方法が主流でした(マルチスクリーン方式)。この方法は、表示装置の台数に比例して、解像度を容易に上げられますが、スクリーン間の「つなぎ目」を完全にシームレスにすることができません。


    《開発技術》
    この課題を解決するために、横4,000×縦1,000画素の画像を、1スクリーン(1画面)として表示するプロジェクターを世界で初めて開発しました。従って、従来のマルチスクリーン表示方式の問題点であった「つなぎ目」がまったく存在せず、最高水準の画質を実現しています。 現在のHDTVでは、横1,920×縦1,080画素を表示しますので、本装置はHDTVの約2倍の解像度を持ち、かつ2倍の広角映像を表示します。これにより、プレイヤーの背番号がはっきり認識できる状態で、サッカー場を全面表示可能となりました。この超高精細画像表示技術に関しては、日本ビクター株式会社が開発した先進のテクノロジーである反射型液晶表示素子(D-ILA)方式と液晶垂直配向技術を合わせることで,高輝度・高精細・高コントラストの画像表示を実現しています。


  3. 超高精細カメラシステム

    4,000×1,000画素レベルに対応した動画像カメラは、現在存在しません。そこで、HDカメラ2台を下図のように配置し、広角に対応したカメラシステムを試作しました。




  4. 実証通信実験

    今回開発した超高精細・広角映像伝送システム「ネットワーク・バーチャルスタジアム」の実証通信実験に成功しました。「研究開発用ギガビットネットワーク(JGN) 」を用いて、超高精細かつ広角な4,000×1,000画素(400万画素)の動画像のライブ伝送実験に成功しました。

    《実験例》
    国立霞ケ丘競技場(国立競技場)(新宿区)と通信総合研究所(小金井市)をATM135Mbpsで接続し、4,000×1,000画素の画像データをリアルタイム動画像データ伝送(ライブ伝送)することに成功しました。 4,000×1,000画素の画像をHD画像2枚に分割して、低遅延MPEG画像伝送装置2セットを用いて並列伝送することに成功しました。 なお、この時(3月29日)の通信実験では、伝送レート90Mbps(HD-MPEG2:45Mbps×2)で通信し、U-23日本代表対U-23ニュージーランド代表サッカー試合をライブ伝送しました。この伝送実験では、国立霞ケ丘競技場、(財)日本サッカー協会、Jリーグ映像(株)、通信・放送機構の協力を得ました。



    【用語説明】

    ATMAsynchronous Transfer Modeの略。音声やコンピュータのデータなど、あらゆるデータを53バイトの小さなセルに分割して送るデータ通信方式。
    MPEGMoving Pictures Experts Groupの略。デジタル動画の標準的な圧縮技術。CD-ROMへの動画の収録を目的とし、1〜1.5Mbps程度のデータ転送速度に対応したMPEG-1、高品質なデジタルテレビ放送などへの応用を目的とし、4〜70Mbpsのデータ転送速度に対応したMPEG-2、電話などの低速な通信手段への対応も考慮し,標準化作業が進行しているMPEG-4等があります。
    D-ILADirect Image Light Amplifierの略。反射型液晶表示素子は一般的なTFT構造とは異なり、配線やトランジスタを画素の下に配置することにより、高い開口率と従来の透過型液晶表示素子では難しかった超高密度画素構造を実現したもので、表示デバイスの中で最も高精細な映像を表示可能な素子です。