- ハイビジョンの4倍の画像処理技術を世界に先がけて実現
− 超高精細バーチャルリアリティ通信に向けた基礎技術を完成 −
- 平成13年6月5日
通信総合研究所(理事長:飯田尚志)けいはんな情報通信融合研究センターは、日本ビクター株式会社(代表取締役社長:守隨武雄)と共同で、「超高精細バーチャルリアリティ通信技術」に関する研究開発の成果として、ハイビジョンの4倍(8百万画素)の解像度を持つ画像処理技術を完成し、超高精細映像システム(表示装置および動画像カメラ)を世界に先がけて開発しました。今後、この技術を、ブロードバンド通信(広帯域・高速通信)の基盤技術として実用化する計画です。
<背景>通信総合研究所けいはんな情報通信融合研究センター(京都府相楽郡精華町)では、マルチメディア・バーチャルラボ(MVL)プロジェクトの一環として、「超高精細バーチャルリアリティ通信技術」の研究開発を推進しています。この研究開発では、ハイビジョンを超える超高精細画像処理技術とその伝送技術(ブロードバンド通信技術)の確立を目指しています。
<成果>
- ハイビジョンの4倍の解像度を持つ超高精細映像表示装置(プロジェクター)を試作しました。このプロジェクターは、4,000×2,000画素の画像をシングルスクリーン(1画面)として表示し、従来水準をはるかに超える高画質を実現しました(世界初)。
- また、4,000×2,000画素の解像度を持つ、CMOSをベースにした、超高精細動画像カメラを併せて試作しました(世界初)。
<今後>今回開発した技術をベースに、多地点・双方向・低遅延・超高精細画像通信技術を確立し、超高精細3次元バーチャル・リアリティ通信の実現を目指します。また、このシステムを用いて、遠隔医療、デジタルシネマ、アミューズメント分野等における実証通信実験を計画しています。
(お問い合わせ先)
通信総合研究所
けいはんな情報通信融合研究センター 画像グループ 磯貝光雄 Tel: 0774-95-2475次世代インターネットグループ 田中健二 Tel: 042-327-5424
日本ビクター株式会社
技術開発本部 佐藤正人 Tel: 0468-36-3889
広報室(報道関係窓口) Tel: 03-3289-2813
[補足資料]
1. 超高精細映像表示装置(プロジェクター)
<従来技術>
ネットワークの広帯域化や放送の多様化に伴い超高精細画像を用いた高度なアプリケーション開発が進められていますが、HDTV(ハイビジョン)を超える映像を表示するには表示装置を複数台並べて、並列表示する方法が用いられてきました。この方法は、表示装置の台数に比例して、解像度を容易に上げられますが、スクリーン間の「つなぎ目」を完全にシームレスにすることができません。
そこで、HDTVを超える表示装置の第一段階として、我々は、1999年度に、4,000×1,000画素レベルのプロジェクターの開発に成功しました。このプロジェクターは、表示アスペクトが32対8(ハイビジョンを横に2枚並べた比率)と極めて横長なものでした。<開発技術>
これらの課題を解決するために、横3,840×縦2,048画素の画像、即ちハイビジョンの映像4画面分を1画面に表示可能なプロジェクターを世界で初めて開発しました。従って、従来のマルチスクリーン表示方式の問題点であった「つなぎ目」がまったく存在せず、完全に一面で構成できることから最高水準の画質を実現しています。 この超高精細画像表示技術の要素技術には、日本ビクター株式会社が開発した先進のテクノロジーである反射型液晶表示素子(D-ILA)方式を使用しています。そして、これと垂直配向液晶技術を合わせることで、高輝度・高精細・高コントラストの画像表示を実現しています。
2. CMOS超高精細動画像カメラ
<従来技術>
4,000×2,000画素レベルに対応した動画像カメラは、一部の研究機関で試作されていますが、非常に大掛かりな装置となっています。超高精細画像を必要とする、例えば遠隔医療環境や各種の撮影現場への持込は事実上難しいと思われます。<開発技術>
我々は、デジタルスチルカメラに代表される高精細カメラ技術に着目し、通常のビデオカメラと同様に扱える超高精細動画カメラ(3,840画素×2,048画素)の試作に成功しました。すなわち、撮像素子には、低消費電力かつ量産性の良いC-MOS構造の素子を新規に開発することにより、これまでの課題を解決しました。 今回試作したCMOSカメラでは、撮影した映像は、現在の主流技術であるCCDと比較し十分なものではありませんが、CMOS技術をチューニングすることで解決の見通しがついています。
3,840×2,048画素超高精細映像プロジェクター 3,840×2,048画素CMOS超高精細動画像カメラ
[用語の説明]
D-ILA: Direct Image Light Amplifierの略。反射型液晶表示素子は一般的なTFT構造とは異なり、配線やトランジスタを画素の下に配置することにより、高い開口率と従来の透過型液晶表示素子では難しかった超高密度画素構造を実現したもので、表示デバイスの中で最も高精細な映像を表示可能な素子です。 CCD: Charge Coupled Deviceの略。電荷転送により高S/Nの撮像信号が得られる。製造工程が複雑で消費電力が大きく、画素数の多い撮像素子には向いていない。 CMOS: Complementary Metal Oxide Semiconductor(相補性金属酸化膜半導体)の略で素子毎に撮像信号を取り出すことが出来る。従来S/Nが悪かったが、プロセス工程での精度向上と画素構成の改良等により、CCDと比較しても遜色ないレベルになってきた。
特に製造工程数が少ないことと,消費電力が少ないことから超高精細の撮像素子に向いている。