- 「JGN2を活用した研究開発アイデアコンテスト」受賞者決定!
―仙台で開催されるシンポジウム会場で表彰式―
- 平成18年1月13日
独立行政法人情報通信研究機構(以下NICT。理事長: 長尾 真)は、未来を担う学生や研究者等の関心を高め、研究開発テストベッドネットワーク「JGN2」を活用した研究開発のさらなる活性化を図るため、「JGN2を活用した研究開発アイデアコンテスト」を昨年10月21日〜11月25日にかけて実施しました。審査の結果、総務大臣賞と最優秀賞がそれぞれ1件、さらに優秀賞2件、計4名の受賞者が決定しました。これら各賞の受賞者表彰式は、平成18年1月18日から仙台国際センターで開催される『JGN2シンポジウム2006 in 仙台』の中で行われます。
【概 要】
「JGN2を活用した研究開発アイデアコンテスト」には、全国各地から78件の応募をいただきました。そのうち、一般の方々から18件、大学生・高校生等の学生から60件と、若い方からの応募が多く、内容もネットワーク技術分野の研究開発に関するアイデアから、ネットワークを利用する奇抜なアイデアまで、多種多様なアイデアが寄せられました。これらの中から次世代高度ネットワーク推進会議研究推進部会による審査の結果、総務大臣賞、最優秀賞及び優秀賞を以下のとおり決定しました。
【受賞者及びアイデアのテーマ名等】 (敬称略)
賞の名称 受賞者名 アイデアのテーマ名 受賞者の所属等 総務大臣賞 渡邊恵太 Ubink:世界各地の「色味」をリアルタイムにインクと して提供するシステム 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 修士課程2年 最優秀賞 中川和久 ネットワーク経路予報に基づくパケット交換システムの開発 九州大学大学院 システム情報科学府 情報工学修士課程1年 優秀賞 室田朋樹 JGN2を利用した広域Live Migration 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 修士課程2年 優秀賞 海住太郎 情報教育用シンクライアント・サーバシステムの開発 東大寺学園高等学校 2年 (奈良県)
【審査方法等】
審査は、次世代高度ネットワーク推進会議研究推進部会において独自性、先進性、社会的影響や波及効果等の項目に関する審査を行い決定しました。審査基準およびメンバー等は別紙1、『JGN2シンポジウム2006 in 仙台』のプログラムは別紙2、各受賞者の提案アイデア概要等は別紙3をご参照下さい。また、JGN2シンポジウム全般については、ホームページ(http://www.jgn.nict.go.jp/sympo2006/)をご覧下さい。
<問い合わせ先>
情報通信研究機構 総務部 広報室
栗原則幸
Tel: 042−327−6923、Fax: 042−327−7587
<アイデアコンテストに関する問い合わせ先>
情報通信研究機構
拠点研究推進部門テストベッド推進室
豊田麻子、三觜正幸、嶋津俊介
TEL:03-3769-6865
FAX:03-5439-7320
E-mail:jgn2center@jgn2.jp
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用語解説 ・JGN2
JGN2は新たな超高速・高機能研究開発テストベッドネットワークとして、独立行政法人情報通信研究機構が平成16年4月から運用を開始したオープンなテストベッドネットワーク環境です。現在、全都道府県ならびに米国、タイ、シンガポールにアクセスポイントを持ち、国内外の産・学・官・地域などと連携し、次世代のネットワーク関連技術の一層の高度化や多彩なアプリケーションの開発など、基礎的・基盤的な研究開発から実証実験なで推進し、我が国、経済社会の活性化と国際競争力の向上を目的としています。・次世代高度ネットワーク推進会議研究推進部会
意見交換・交流の実施を通じJGN2リサーチセンターを始めとするNICTの研究者と他の研究者・研究機関との連携、関連する学会等との連携、JGN2を用いた研究開発テーマの検討及びその他JGN2上での効果的な研究開発の推進に関する検討を目的に設置された部会であり、メンバーはJGN2リサーチセンターやNICTのJGN2を利用した研究者、その他部会長が必要と認める者から構成されています。・JGN2シンポジウム2006 in 仙台
「JGN2」の活動について多くの方に知っていただくとともに、関係する研究者の方々や地域間の情報交換等の促進を目的として、今年度は仙台にて開催するシンポジウムです。具体的なプログラム等は別紙2に示します。
●平成18年1月18日(水) 13:30〜13:50 開会挨拶
独立行政法人情報通信研究機構来賓挨拶
総務省、宮城県13:50〜14:10 基調講演「次世代IT戦略とJGN2」
野口 正一((財)仙台応用情報学研究振興財団 理事長)14:15〜14:45 特別講演1「イノベーター日本」の実現におけるJGN2への期待
柘植 綾夫(総合科学技術会議 議員)14:50〜15:20 特別講演2「4K非圧縮ライブデモンストレーション」
青山 友紀(東京大学 教授)15:30〜15:50 コンテスト表彰式など
「JGN2を活用した研究開発アイデアコンテスト」最優秀賞、優秀賞、総務大臣賞16:10〜18:10 パネルディスカッション1「ICTを活用した地域の活性化」
チェア:相原 玲二(広島大学 教授)
パネリスト:
菊池 豊 (高知工科大学 助教授)
古賀 達蔵(つくばJGN2リサーチセンター センター長)
近藤 弘樹(佐賀大学 教授)
曽根 秀昭(東北大学 教授)
長友 信裕(アボック株式会社 代表取締役社長)
●平成18年1月19日(木) 10:30〜12:00 研究発表
チェア:島村 和典(高知工科大学 教授)
発表者:
小林 和真(岡山JGN2リサーチセンター/倉敷芸術科学大学 教授)
鶴 正人 (北九州JGN2リサーチセンター/九州工業大学 助教授)
楠田 友彦(JANOG/インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス株式会社)
下川 俊彦(QAI/IA/TAI合同研究会/九州産業大学 助教授)13:30〜14:10 特別講演3
Jianping Wu (Director of CERNET Center/中国清華大学 教授)14:30〜16:00 海外パネルディスカッション(英語)「超高速で世界が繋がる」
チェア:池田 佳和(東京工業大学 特任教授)
パネリスト:
Dai Davies (DANTE General Manager)
Jianping Wu (Director of CERNET Center/中国清華大学 教授)
Matthew J.Zekauskas(Senior Engineer Internet2)
江崎 浩(東京大学 教授)
後藤 滋樹(早稲田大学 教授)16:15〜18:00 パネルディスカッション2「JGN2の今後の展開」
チェア:尾家 祐二(JGN2研究開発プロジェクト総括責任者/九州工業大学 教授)
パネリスト:
坂内 正夫(国立情報学研究所 所長)
下條 真司(大阪大学 教授)
村井 純(慶應義塾大学 教授)
河内 正孝(NICT 理事)
●平成18年1月20日(金) 10:00〜16:30 共催研究会によるパラレルセッション
電子情報通信学会インターネットアーキテクチャ研究会
電子情報通信学会インターネット技術とその応用時限研究専門委員会
情報処理学会高品質インターネット研究会※氏名はアルファベット順、五十音順
<総務大臣賞> タイトル:「Ubink: 世界各地の「色味」をリアルタイムにインクとして提供するシステム」
提案者氏名:渡邊恵太
提案者所属:慶應義塾大学 大学院 政策・メディア研究科 修士課程2年<概 要>
世界各地にあるユニークな「色味」を、絵画やデザインに利用可能な素材として提供するUbinkを提案する。Ubinkにより世界がパレットとして利用でき,あらゆる産業に利用可能となる。 手法:日本各地、世界各地に高感度ビデオカメラを遍在配置。JGN2を活用し、広帯域で常時ビデオストリーミングを行う。カメラ1つをインクとみなし、収集。パレット化し汎用的に利用可能にする。
<特 長>
- ビデオストリーミングにより、素材はその場所のユニーク性だけでなく、時間によっても変化していく。つまり、季節によって色味が変化していく「変化する素材」が提供できる。しがたって「旬な素材」といった考え方生まれるなど、デジタルメディアには乏しい時間性が生まれる。新しい絵画の誕生の可能性もある。
- Ubinkを使った絵画は、実世界とリアルタイムに連動するため、絵画にもなるが、外界の情報を知る手段、すなわち「窓」として可能である。すなわち、新しいユーザーインタフェースとしても大きな可能性がある。
- オンラインゲームや、ビデオゲームなどの世界に利用可能。たとえば、「北海道の空インク」を利用すれば、シミュレーション不要で、常に変容する空を提供できる。CG制作コストのダウンも見込める。
- 素材のクオリティの維持、および素材ゆえに「常時」提供し続ける必要があるため、JGN2の高性能のネットワーク環境が不可欠である。
- インクレベルの提供により極めて汎用的に利用可能であり、あらゆる組み合わせが可能である。
<最優秀賞> タイトル:「 ネットワーク経路予報に基づくパケット交換システムの開発 」
提案者氏名:中川 和久
提案者所属:九州大学大学院システム情報科学府情報工学専攻 (修士1年)<概 要>
- インターネット上でパケット交換に用いられる経路情報を集約させ.インターネットの経路そのものを天気予報のように取り扱うシステムを開発する.
- 過去の経路変化,送信されるパケットのヘッダ情報を基に経路情報の変化・フロー数の増加量・パケットロス発生率及び遅延時間を予測し,各端末はその予測を用いて,パケットロスが無い安全な通信や遅延の発生を抑えた通信といった,それぞれに最適な経路を用いてパケットを送受信する.
<特 長>
- ネットワークの情報を公開することは各ポリシ間の制約が生じてしまうが,それを克服し経路情報を共有することで新たなネットワーク管理方法を提案し,各端末にもそれら情報を用いたパケット送信を推奨することで,より高品質な通信を可能にする.
- ネットワークのトラフィックの推移を予測するための研究の発展が期待される.
- ポリシに制約されない大規模な経路情報収集及び解析が必要となるので,日本全土に展開するJGN2の環境が有効である.
<優秀賞> タイトル:「JGN2を利用した広域 Live Migration」
提案者氏名:室田朋樹
提案者所属:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 基盤情報学専攻 若原中山研究室<概 要>
PC上で動作する仮想マシンモニタ Xen(*1)には Live Migrationと呼ばれる機能が実装されている。この機能を利用することで、あるPC上の仮想マシンモニタ上で動作しているOSを、ネットワークコネクションを保ったまま物理的に別のPC上に移動が可能になる。
提案する実験では、JGN2を介して、ネットワークコネクションを維持したまま地理的に離れた位置へサーバを移動させる、OS単位での Migrationについて実験を行い、必要な要素技術について検討を行う。
<特 長> 仮想マシンを動作したまま移動させるためには、仮想マシンが使用しているメモリ容量に加え、iSCSIなどのストレージサービスをネットワーク越しに提供する必要があり、低遅延・広帯域なネットワークが不可欠である。このため、コネクションを維持したままの Migrationには 数Gbpsの帯域が必要となる。よって、このような広帯域回線でなければ実験自体を行いにくく、JGN2を利用しての実験が不可欠である。
広域ネットワークにおける Migrationに必要な要素技術として、広帯域ネットワークにおける IP Mobilityなど周辺の技術への波及効果が期待できる。広域な動的 Migrationが可能になることで、ユーティリティコンピューティングやグリッドなどの動的な負荷分散や、災害対策に至る広い範囲での応用が考えられる。
現在、広域ネットワークを介した Migrationについての研究は知られておらず、提案する実験により得られた問題点や改良点について広く公表すると共に、Xen Projectに対してもフィードバックを行いたいと考えている。
<優秀賞> タイトル:「情報教育用シンクライアント・サーバシステムの開発」
提案者氏名:海住太郎
提案者所属:東大寺学園高等学校 2年<概 要>
- 中央サーバ・校内サーバ・生徒用シンクライアントにて構成される。
- 地方の小中学校、高等学校に配備された校内サーバに対し、中央サーバよりオペレーティングシステム、教育用ソフトウェア、オフィスソフトウェア、教育コンテンツ等の配信を行う。
- 校内サーバが配信内容に応じてディスクイメージを作成し、各クライアントへの配備を自動化・簡略化する。
- 各学校のカリキュラムに応じて配信内容は選択可能である。
- マルチキャスト技術を用いて、効率よくネットワークを利用する。
<特 長>
- 地域において差がある情報教室の整備を一貫して行える。
- リース等が主であった情報機器の整備・改新について、シンクライアントを用いるため低コストにて実現できる。ソフトウェアの更新も容易。
- OSまで配信できるため、Linuxなどの新時代における環境も体験・学習ができる。
- ソフトウェア / ディスクイメージ等大容量のデータを地方へ・短時間で配信するインフラとして、JGN2が必要不可欠である。
- ソフトウェアライセンス等の問題が残るが、開発に関しては十分実現可能。また、他教科に関してもシステムを発展させることが可能。