報道発表(お知らせ)



独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT。理事長:長尾 真)は、日本標準時の精度及び信頼性双方の向上を目指し、平成18年2月7日より新しい日本標準時システムによる運用を開始します。


【背景】
NICTは、国の標準機関として、国民生活で使われている時刻の大もとである日本標準時(JST)*1を生成し、長波標準電波やネットワークでのサービスを通じて、広く国内に供給しています。これまでも安定した日本標準時の配信運用を続けてきましたが、電子政府・電子自治体等に代表されるICT(情報通信技術)社会の普及・拡大等も進み、日本標準時の重要性がさらに増してきました。そのため、建物の耐震性向上及びセキュリテイ対策強化等も含め、より安定で信頼性の高い日本標準時を供給する「新日本標準時(NJST)システム」開発を進めてきました。

【新日本標準時システムの特徴】
新しい日本標準時システムは、従来のシステムに比べ、世界の標準時(協定世界時UTC*2)との時刻同期精度が5倍良くなリます(±50ナノ秒*3以内から±10ナノ秒以内へ)。これは、日本標準時の信号源として使用してきたセシウム原子時計*4群に水素メーザー原子時計*5を加えたこと、原子時計間の時間差を高精度に計測する装置類を開発できたことなど、従来の日本標準時システムに大幅な刷新を加えたことで達成されました。こうした特徴は機能・性能面でも活かされ、従来、精度が劣っていた1,000秒程度未満の短期間安定度(時間・周波数の)が改善され、短期から長期にわたって常に安定で信頼性の高い日本標準時(時間・周波数)供給が可能となります。
なお、新日本標準時システムは、主要室の電磁/磁気シールド化、温度/湿度の高精度制御、完全無停電化、セキュリテイ強化等、新システムの安定運用に必要となる諸対策が講じられ、強固な免震構造の建物内で運用されます。

【現用システムからの切り換えに向けて】

現用システムと新システムの並行運転を十分行い、新システムの運用開始に向けた最終確認を経て、切り換えを行います。従って、時刻認証の基準信号をはじめ各種時刻供給サービスへの切り替えの影響はありません。今後も安心してNICTの日本標準時供給サービスをご利用ください。


<問い合わせ先>
情報通信研究機構 総務部 広報室
栗原 則幸
Tel: 042−327−6923、Fax: 042−327−7587
広報室アドレス

<担当部門問い合わせ先>
情報通信研究機構 電磁波計測部門
時間周波数計測グループ 花土 ゆう子
Tel: 042-327-7624、Fax:042-327-6664

日本標準時グループ 今村 國康
Tel: 042-327-7613、Fax:042-327-6689
e-mail:horonet@nict.go.jp


写真

運用を開始する「新日本標準時システム」の外観。

この写真は、セシウム原子時計群および水素メーザー原子時計群から出力される各原子時計間の極めて僅かな時刻差精密測定、時間(周波数)の制御、時刻表示など、様々な機器・装置類がラック内に収納された機器類の外観を示している。ここから、安定で信頼性の高い「日本標準時」がリアルタイムで供給される。


写真

原器室内に設置されているセシウム原子時計4台(左側ラック)と、
水素メーザー原子時計(右側)

原器室は4室あり、電磁/磁気シルード対策や、温度(±0.5℃以内)および湿度(±10%以内)が高精度制御されている。このため、原器室への立ち入りは限られた職員のみが許可される。通常は完全無人運用状態で、離れた場所から計算機を使って監視される。新日本標準時システムでは、合計18台のセシウム原子時計と3台の水素メーザー原子時計とが常時運用されている。



【用語解説】

*1日本標準時(JST:Japan Standard Time)
協定世界時(UTC)を東経135度に相当する時差9時間だけ進めた時刻。

*2協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)
国際原子時(TAI)*aに閏秒の補正を行った時刻。その歩度はTAIに厳密に一致するが時刻は整数秒異なる。標準時として国際的に広く利用されており、多くの国で法定常用時の基礎となっている。

*3ナノ秒
1ナノ秒は10億分の1秒。

*4セシウム原子時計
セシウム原子の遷移周波数に基づく安定な時間・周波数信号を出力する装置*b。長期(数10日以降)における周波数安定度が良いため、時系の維持に利用される。

*5水素メーザー原子時計
水素原子の遷移周波数に基づく安定な時間・周波数信号を出力する装置。短期(1,000秒以下)における周波数安定度は良いが、10,000秒以降の安定度は落ちていくことから、時系を構築する場合には、長期安定度の良いセシウム原子時計と組み合わせて用いる。

*a国際原子時(TAI:International Atomic Time)
「秒の定義」に従い、いくつかの機関で運転されている原子時計の時刻に基づいて、国 際度量衡局が定める基準となる時刻。世界中の原子時計の合成により作られる時系。

*b秒の定義
秒は、セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細構造準位の間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770倍の継続時間である。


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