報道発表



独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT。理事長: 長尾 真)は、平成18年2月6日〜2月28日にかけて、次世代インターネットのコア技術となるIPv6マルチキャスト技術(1*)により、テレビ放送利用を目的としたハイビジョン映像及び標準映像の伝送技術の実証実験を実施します。この実験はNICTが運用・管理する研究開発テストベッドネットワーク「JGN2」(2*)を活用し、「さっぽろ雪祭り」大通り公園、沖縄・高知のプロ野球キャンプ地(名護・北谷・宜野座・安芸)と全国6か所の放送局(別紙1参照)、シンガポール・タイ・韓国との間をJGN2で相互接続し、生中継の伝送実験とテレビ番組素材の伝送実験をおこないます。ハイビジョンクオリティ(3*)でのこうした実環境における実証実験は世界初の試みとなります。


【背景】
次世代インターネット技術として研究開発が進めてられているIPv6マルチキャストは、おもにネットワークを利用した放送型の映像配信への活用が期待されていますが、この技術を実際の放送分野に適用するためには解決しなければならない多くの課題が存在します。加えて、平成23年には地上波放送がアナログからデジタルへ完全移行することにより、一層、高品質な映像を伝送することが期待されています。こうした背景のもとNICTでは過去二回にわたり、IPv6マルチキャストによる生中継を想定した放送素材の伝送実験を実施し、実運用に耐えうる機能レベルになったことを示し、通信・放送融合分野における技術革新に大きく貢献しました。 放送業界が変革期を迎えている現在、IPv6マルチキャスト技術への期待は引き続き高く、新たな利用形態の実現が求められており、今回は、ハイビジョン映像での実環境における実証実験、さらに国外にも展開した国際間での実証実験を実施します。本実験は、別紙1に記載されたネットワーク構成により、JGN2研究開発プロジェクトを中心に別紙2に記載された機関の協力・協賛を得て実施します。

【実験のポイント】

(1) 放送の実環境におけるIPv6マルチキャスト技術による"ハイビジョン"映像配信に関する伝送実験
(システムの信頼性確保・冗長化に関する実証実験、コンテンツ保護技術に関する実証実験)
今回のIPv6マルチキャスト実証実験では、標準映像に加え、高品質なハイビジョン映像による地上波生放送での利用を目的とした映像伝送が、実環境において、安価に実現する手法を確立するとともに、放送利用を目的としたバックアップ系の検討や信頼性確保に関する技術の検証も併せて実施します。また、単一系列放送局で行ってきた昨年までの体制を拡張し、複数の放送系列局(JNN系列+TV朝日系列)が参加することにより、異なる放送系列局間で相互に干渉されないコンテンツ保護の技術・仕組みを実現した上で、実利用における課題を抽出し改善するための研究を実施します。

(2) IPv6マルチキャスト技術の"国際間"の実証実験
本年度は、実験に活用する映像の一部を、JGN2等を活用して、シンガポール・タイ・韓国に向けてIPv6マルチキャストで配信し、各国の現地研究者に、その映像を通じて「さっぽろ雪祭り」を紹介するイベントを計画しています。IPv6マルチキャスト技術を用いた画像の海外への同時生中継は世界初の試みで、こうした国際共同研究を通じて、我が国が得意とするIPv6マルチキャスト技術の国際展開にも大きく貢献することが期待されます。

【今後の課題】
インターネットの利便性と経済性を放送に活用できれば、将来的には、商用テレビ放送分野だけではなく、閉ざされたエリア内での簡易で、かつ非常に有効な情報伝達ツールとして防災情報、エリア情報等への利活用の可能性が広がります。現在各家庭向けに広がりつつある光インターネットFTTH(4*)の本格普及により、通信・放送融合技術の鍵であるIPv6マルチキャスト技術の可能性はますます拡大することから、今回の実証実験の結果が注目されています。


<問い合わせ先>
情報通信研究機構 総務部 広報室
奥山 利幸、大野 由樹子
Tel: 042−327−6923、Fax: 042−327−7587
広報室アドレス

    <実証実験に関する問い合わせ先>
拠点研究推進部門テストベッド推進室
豊田麻子、三觜正幸、小坂征久
TEL:03-3769-6865
FAX:03-5439-7320
E-mail:jgn2center@jgn2.jp

JGNIIロゴマーク



【用語説明】

1*IPv6
Internet Protocol version 6の略。現在、普及しているIPv4はアドレス空間が32ビットで約43億個分のIPアドレスが識別できる。しかし、加速度的なインターネットの普及に伴い、アドレスの枯渇が問題になってきている。IPv6はこの問題を解決するために128ビットのアドレス空間を有し、同時にセキュリティ強化が実施された次世代のインターネットプロトコルである。

マルチキャスト技術
1つの送信点から複数の受信点に同一内容のパケットを送信する場合に利用する技術。既存のネットワークであるIPv4でマルチキャストを実施しようとすると専用のネットワークを構築する必要があったが、次世代ネットワークとなるIPv6ではネットワークの種別に依存しないマルチキャスト技術の確立を目指しており、これによってインターネットによるコンテンツ配信の技術が飛躍的に向上するものと期待される。

2*JGN2
独立行政法人情報通信研究機構が平成16年4月より運用を開始した全都道府県ならびに米国・タイ・シンガポールにアクセスポイントを持つ研究開発テストベッドネットワーク。次世代高度ネットワークを国内外の産・学・官・地域連携によって早期実現させ、我が国、経済社会の活性化と国際競争力の向上を目的としている。

3*ハイビジョンクオリティ
現在のテレビより走査線の数を増やして画質を向上させた次世代のテレビ方式の画像品質のこと。現在日本や北米で普及しているNTSC方式は走査線が525本であるのに対して、ハイビジョンでは1125本または1250本に増え、その分画質が向上する。

4*FTTH
Fiber To The Homeの略。光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス。元は、一般家庭に光ファイバーを引き、電話、インターネット、テレビなどのサービスを統合して提供する構想の名称だったが、転じて、そのための通信サービスの総称として用いられるようになった。



別紙1

実証実験ネットワーク構成図



別紙2

実証実験参加機関

1主催
 情報通信研究機構 岡山JGN2リサーチセンター

2協力・協賛機関(五十音順)

・ 朝日放送株式会社(ABC)
・ アライドテレシス株式会社
・ アラクサラネットワークス株式会社
・ NTTコミュニケーションズ株式会社
・ エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社
・ 岡山県
・ 岡山県倉敷市
・ 岡山県高度情報化促進協議会
・ 岡山IPv6コンソーシアム
・ 沖縄県
・ 沖縄県北谷町
・ 沖縄県名護市
・ 沖縄県宜野座村
・ 沖縄通信ネットワーク株式会社(OTNet)
・ 沖縄県北部広域市町村圏事務組合
・ 株式会社オービス(OBIS)
・ 株式会社スカイ・エー (スカイ・A)
・ 株式会社スペースビジョンネットワーク (GAORA)
・ 株式会社中国放送(RCC)
・ 株式会社テレビ高知(KUTV)
・ 株式会社日立製作所
・ 株式会社毎日放送(MBS)
・ 株式会社三菱総合研究所
・ 九州ギガポッププロジェクト(QGPOP)
・ 九州大学
・ 倉敷芸術科学大学
・ 高知県
・ 高知県安芸市
・ 高知工科大学
・ 国際海洋環境情報>]@0(GODAC)
・ サイバー関西プロジェクト
・ 山陽放送株式会社(RSK)
・ シスコシステムズ株式会社
・ 中部テレコミュニケーション株式会社(CTC)
・ 中部日本放送株式会社(CBC)
・ ディーリンクジャパン株式会社
・ 特定非営利法人 中国・四国インターネット協議会
・ 名古屋大学
・ 西日本電信電話株式会社
・ 日本電気株式会社
・ 日本ビクター株式会社
・ パンンドウィットコーポレーション日本支社
・ 広島市立大学
・ 広島大学
・ 広島地域IPv6推進委員会
・ ファットウェア株式会社
・ 北海道総合通信網株式会社(HOTnet)
・ 北海道放送株式会社(HBC)
・ 琉球放送株式会社(RBC)
・ KOREN(Korea Advanced Research Network)
・ ANF(Advanced Network Forum)
・ KT(韓国通信)
・ SingAREN (Singapore Advanced Research & Education Network)
・ Nanyang Technological University
・ National University of Singapore
・ ThaiSarn (Thai Social/Scientific Academic and Research Network)
・ NECTEC (National Electronics and Computer Technology Center)