報道発表



独立行政法人情報通信研究機構(以下、NICT。理事長:長尾 真)は、NICTが独自に開発した世界最高性能のインターネット用時刻同期サーバを用いて、平成18年6月12日からインターネットを介した日本標準時配信サービスを開始します。また、これを機にNICT NTPサービス利用クライアントコンテストを実施します。


【背景】
インターネットを介して配信される正確な時刻は、パソコン、情報家電やネットワーク機器などで広く利用されるとともに、e-Japan戦略の基盤として期待されています。これまで、NICTは安定した精度が得られる専用回線を用いた事業者向けのNTP時刻配信サービスを提供してきました。しかし、日本には一般に公開されているNTPサーバが少なく、混雑により精度が劣化することがありました。また、混雑している国内サーバを避けたユーザが海外サーバを利用することで海外サーバが混雑するという問題もあり、国内のNTPサーバの拡充が求められていました。このため、NICTは一般ユーザがインターネットを使って正確な日本標準時を直接利用できるNTPサービス提供の準備を進めてきました。

【今回の成果】
今回サービスを開始するシステムは、インターネットで最も広く使われているNTPに準拠しており、NICT内に設置され、日本標準時に直結したサーバの時刻精度は10ナノ(1億分の1)秒以内、処理能力は毎秒100万リクエスト以上の性能を有します。また、時刻源、サーバ、ネットワーク、電源の全てを冗長化構成することにより、高い信頼性を確保しています。この処理能力は世界最高性能で、現在の国内の需要を十分にカバーすることができると考えられます。

 ・NICT NTPサーバ アドレス:  ntp.nict.jp
 ・公開NTPサービスWebページ: http://www2.nict.go.jp/w/w114/stsi/PubNtp/


【今後】
今回のインターネットを用いた時刻配信により、インターネットを利用できるところであれば、手軽に日本標準時と直結した同期を行うことが可能となります。NICTでは公開NTPサービスの開始を記念するとともに、日本標準時への関心を高め、現在の世界中のサーバの合計以上の処理能力を有する NICT NTPサービスをより多くの皆様にご利用いただくため、『NICT NTPサービス利用クライアントコンテスト』を開催します。



<問い合わせ先>
情報通信研究機構 総合企画部 広報室
栗原 則幸、大野 由樹子
Tel: 042-327-6923
Fax: 042-327-7587
広報室アドレス
   <研究内容に関する問い合わせ先>
情報通信研究機構 第一研究部門
光・時空標準グループ
町澤 朗彦
Tel: 042-327-5763
Fax: 042-327-5809
町澤アドレス



<補足資料1>


(1) <用語解説>
* NTP (Network Time Protocol)
世界で最も使われているインターネットを介した時刻同期システムで、全世界で150台ほどのサーバが公開されています。 既存システムの処理能力は1台あたり毎秒5000リクエスト程度が限界となっていて、 リクエスト数の合計は全世界で平均すれば、毎秒数万リクエストですが、特定の時刻には一部のサーバに集中し、許容量を超えています。 NICTで開発した時刻サーバの処理能力は、1台で既存システム200台分以上に相当します。


(2) <NICT NTPサービス利用クライアントコンテストの開催について>
NICTでは、この世界最高の処理能力で日本標準時に直結する公開NTPサービスの開始を記念し、 『NICT NTPサービス利用クライアントコンテスト』を開催します。 本コンテストでは、 日本標準時の関心を高め、NICT NTPサービスの利活用を図るため、 NICT NTPサービスを利用するクライアント(ソフトウェア、ハードウェアおよびアイデア)を募集します。 なお、募集要項は次のWebぺージにて発表します。

 ・http://www2.nict.go.jp/w/w114/stsi/PubNtp/contest.html


(3) <NICTにおける時刻配信活動>
NICTは独自に維持・管理する日本標準時の時刻情報を標準電波やテレフォンJJY、専用回線によるNTPサービス、タイムビジネス時刻配信サービス等により社会に供給しており、これらは正確な時刻の基準として電波時計だけでなく、放送局、通信事業者、金融機関、タイムビジネス関係機関等でも広く利用されています。


(4) <NICT NTPサービスの社会への波及効果>
米国では証券業界の不正防止を目的に取引時刻を米国標準技術研究所(NIST)の米国標準時に同期させる事を義務付けたルール(OATSルール)が導入されました。 日本でもe-Japan戦略に基づいて電子商取引および電子政府の実現が進められており、 総務省の「公共ITにおけるアウトソーシングに関するガイドライン(平成15年3月)」において、システムクロックを日本標準時に同期させる指針が出されています。 NICT NTPサービスは、これらの時刻源として活用されます。



<参考資料1>

公開NTPシステムの概要

公開NTPサービスのイメージ図

図1


NICTが開発したSNTPサーバボードの仕様および外観

サーバアドレス: ntp.nict.jp
処理速度: 毎秒100万アクセス以上
時刻確度: 日本標準時と±10ナノ秒以内 (*)
対応ネットワーク: IPv4 および IPv6
構成技術: ハードウェア(FPGA)
運転環境: 日本標準時と同程度
冗長化: 時刻源、サーバ、ネットワーク、電源の全てを冗長化
運用監視: 障害検知およびシステム切替えの自動化による24時間監視

*ユーザー側で得られる精度については参考資料2をご覧ください。

サーバーボード外観



参考資料2

ユーザ精度について

ユーザ側で得られる精度は、途中のネットワークの混雑状況やクライアントに依存しますので、一概には保証できませんが、 下のグラフは、広域イーサネットサービスを介して60kmほど離れた場所での同期精度の実測例です。家庭用のADSL などではこれより一桁程度劣化すると思われます。また、グラフの縦軸 "offset"は日本標準時との時刻差で、『100u』などは『100マイクロ秒』を意味します。


測定条件

測定条件

広域イーサネット: 往復遅延(平均3.2ミリ秒, 標準偏差0.23ミリ秒)
NTPクライアント: ntpd 4.2.0/Linux (ポーリング間隔256秒)