報道発表



独立行政法人情報通信研究機構(以下NICT。理事長 長尾 真)は、岡山県高度情報化推進協議会と共同で、次世代インターネット技術であるIPv6*1マルチキャスト*2技術を活用し、映像素材を一般家庭(岡山県鏡野町)に配信する実証実験を実施します。

今回の実証実験は、平成18年10月10日から平成18年10月20日にかけて、実稼働中の地域ケーブルテレビ(FTTH*3)を経由し一般家庭まで配信するものです。一般的なネットワーク環境を活用し、視聴者によるチャンネル切り替え(ザッピング)操作時の影響評価等を検証する実証実験は初めての試みです。


【背景】
IPv6マルチキャスト技術は、多地点に大容量の映像情報を効率良く配信するという観点から、放送型の映像配信への活用が期待されています。こうした背景のもと、NICT中国リサーチセンターでは、IPv6マルチキャストにより、ライブの標準映像*4及びハイビジョン*5映像伝送実験を実施し、その技術的課題の解決に取り組んできました。しかし、一般家庭での利用が期待される次世代の映像配信技術としては、これまでの実験環境が限定されており、動作性等を確認する上では不十分でした。

今回は、より現実的な実証実験環境を整えるために、岡山県鏡野町の一般家庭にご協力いただき、実験を実施することになりました。本実験は、JGN2研究開発プロジェクトを中心に別紙1に記載された機関の協力・協賛を得て実施します。


【実験概要】
一般家庭まで映像を配信し、視聴者によるチャンネル切り替え(ザッピング)操作等、視聴者側の利用適応性を検証します。

(1) 実験網構成
JGN2、岡山情報ハイウェイ、そして岡山県鏡野町有線テレビすべて接続し、実証実験のための回線を構築します。実験期間中は、鏡野町の一般家庭の視聴者に、PCで配信画像をご覧いただきます。

(2)技術検証
実験内容は、鏡野町の一般家庭において、5、7、10秒間隔でチャンネルの自動切り替え(ザッピング)を行った際のネットワーク稼働状況、受信状況を調査・評価し、通常のテレビ放送と同等のチャンネル切り替え時間が実現できるネットワーク環境づくりの基礎データを取得します。また、汎用的に使用されている機器(集合メディコン*7、L2 スイッチ*8)を活用して実験を行うことにより、一般的なネットワーク環境における機器の可用性・信頼性等の機器性能に関する課題抽出を行い、今後の性能改善に役立てます。


【今後の展望】
IPv6マルチキャストは、従来から期待されている放送型の映像配信技術としてのみならず、地域のケーブルテレビ等のネットワークと連携させることにより、防災・防犯をはじめ、市民生活面においても有効な地域情報ツールとしての活用も期待されます。

今回取り組んだ地域連携実証実験等も重ね、IPv6技術の普及を目指すとともに、実験で得られた検証結果をベンダー等にフィードバックすることにより、一般的なネットワーク環境でも利用しやすいIPv6マルチキャストの実現を目指します。



<問い合わせ先>
独立行政法人情報通信研究機構
総合企画部広報室
栗原則幸、大野由樹子
TEL:042-327-6923、FAX:042-327-7587
広報室アドレスpublicity@マークnict.go.jp
   <実証実験に関する問い合わせ先>
連携研究部門テストベッド推進グループ
豊田麻子、小野博喜
TEL:042-327-6005
FAX:042-327-5560
E-mail:jgn2centerアットマークjgn2.jp
jgn2ロゴ



【実証実験構成図】

【実証実験構成図】


【用語説明】

*1 IPv6
Internet Protocol version 6の略。現在、普及しているIPv4はアドレス空間が32ビットで約43億個分のIPアドレスが識別できる。しかし、加速度的なインターネットの普及に伴い、アドレスの枯渇が問題になってきている。IPv6はこの問題を解決するために128ビットのアドレス空間を有し、同時にセキュリティ強化が実施された次世代のインターネットプロトコル。

*2 マルチキャスト
1つの送信点から複数の受信点に同一内容のパケットを送信する場合に利用する技術。既存のネットワークであるIPv4でマルチキャストを実施しようとすると専用のネットワークを構築する必要があったが、次世代ネットワークとなるIPv6ではネットワークの種別に依存しないマルチキャスト技術の確立を目指しており、これによってインターネットによるコンテンツ配信の技術が飛躍的に向上するものと期待される。

*3 FTTH
Fiber To The Homeの略。光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス。元は、一般家庭に光ファイバーを引き、電話、インターネット、テレビなどのサービスを統合して提供する構想の名称だったが、転じて、そのための通信サービスの総称として用いられるようになった。

*4 標準映像
Standard Definitionの略。従来のアナログ放送で使う、52万画素を上限としたNTSC方式の画質のこと。画面の縦横の長さの比が3:4で、上下の走査線本数が525本となる。そのうち有効な走査線は480本。

*5 ハイビジョン
High Definition televisionの略。現在のテレビより走査線の数を増やして画質を向上させた次世代のテレビ方式の画像品質のこと。現在日本や北米で普及しているNTSC方式は走査線が525本であるのに対して、ハイビジョンでは1125本または1250本に増え、その分画質が向上する。

*6 JGN2
NICTが2004年4月から運用しているオープンな研究用の超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク。

*7 集合メディコン
異なる伝送媒体(例えば光ファイバーと銅線ケーブル)を 接続し、信号を相互に変換する装置。銅線を流れてきた信号を光ファイ バーに変換して、Ethernetを数10キロにわたって長距離伝送する製品などがある。これを利用すれば、すでに普及が進み安価に導 入可能なEthernet製品を利用して光ファイバーによるインター ネットアクセスが可能となるため、FTTHの安価な提供が可能になる装置として注目されている。

*8 L2スイッチ
ネットワークの中継機器の一つで、OSI参照モデルのデータリンク層(第2層)のデータでパケットの行き先を判断して転送を行なうもの。



別紙1

実証実験参加機関

1.主催
情報通信研究機構 中国リサーチセンター

2. 協力
・協賛機関(順不同)
・岡山県鏡野町の一般家庭
・岡山県鏡野町/鏡野町有線テレビ
・岡山県/岡山情報ハイウェイ
・岡山IPv6コンソーシアム
・株式会社オービス
・株式会社RELATION
・日本コムシス株式会社
・ファットウェア株式会社
・株式会社NTTデータ中国