- 超軽量、超コンパクトイオン真空ポンプを開発
−真空処理を、身近に、手軽にする新技術−
- 平成19年2月21日
独立行政法人情報通信研究機構(以下NICT。理事長: 長尾 真)は、独自の電磁界放電技術を用い、従来のイオン真空ポンプに比べ約8倍の吸引速度(真空状態に達する速度)、重量比・容積比で10分の1の超コンパクト真空排気装置を開発しました。同時に、乾電池で20時間駆動を可能にする低消費電力化も実現できたことにより、真空容器一式をスーツケースに収納し、ナノ素材試料等を真空状態に維持したまま世界中何処へでも搬送することが可能となりました。
<背景>
ナノテクノロジーは、ナノメートル(100万分の1ミリメートル)サイズの、原子・分子レベルで加工・制御する技術であり、情報通信分野はもとより、バイオ・材料の分野で飛躍的な革新をもたらす技術として注目を浴びています。
こうした分野の研究開発を加速するには、企業や大学などとの連携、とりわけナノ素材の共有が重要です。しかしながら、従来のイオンポンプ方式を用いた真空ポンプは、放電メカニズムを用いて高真空状態を作り出す装置として広く普及していますが装置規模が大きく、汎用性に優れているとは言い難いものでした。
極限的なクリーン環境を必要とするナノ素材の取り扱いには、超高真空環境が必須である場合が多くあり、誰にでも手軽に取り扱え、持ち運びが容易な超高真空維持装置の出現が期待されていました。
<今回の成果>
NICTが開発したイオン真空ポンプは、独自の電磁界放電メカニズムを採用し、従来のものに比べ8倍の真空吸引速度、重量比・容積比等の装置規模で10分の1の小型化が達成できました。同時に、低消費電力化も実現し、市販の乾電池でも20時間もの長時間駆動を可能にしました。
例えば、開発したイオン真空ポンプを取り付けた真空容器を利用すれば、ナノ素材を真空状態にしたまま空気にさらすことなく、スーツケースに収納して世界中何処へでも搬送することができます。
<今後>
本技術は、可搬型の真空ポンプとしてだけでなく、据付型の超コンパクト真空ポンプとして、より広範な適用領域が想定されます。これまで、真空ポンプは、重量・サイズ等の制約から用途が限られていました。 本技術により、車載用真空ポンプや、アイスボックスのような真空容器など、手軽に真空処理をすることができるようになり、新たな適用分野を創出できるものと思われます。
なお、「nano tech 2007 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(2月21日-23日、東京ビッグサイト開催)において、製品展示を行います。
<広報 問合せ先>
総合企画部 広報室
栗原 則幸、大野 由樹子
Tel:042-327-6923、Fax:042-327-7587
<研究内容に関する問合せ先>
未来ICT研究センター
ナノICTグループ
田中 秀吉
Tel: 078-969-2147
Fax: 078-969-2259
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補足資料1
【用語解説】イオンポンプ
ポンプ内に電磁場を引き起こし、放電により生じたイオンをチタン陰極に衝突させ、スパッタリングされたチタン原子を容器壁面に吸着させます。ここでゲッタ膜とよばれる膜を作りだし、活性ガスをこの膜に吸着させることにより、不活性ガスはイオンとして陽極に吸着されます。こうした方式のイオンポンプは電子顕微鏡やナノテク環境向けの高真空用ポンプとして用いられます。
写真1. 開発した超コンパクトイオン真空ポンプと真空容器とを組み合わせた装置全体の外観
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真空ポンプサイズ
直径:10cm
長さ:20cm
重量:1.3kg
市販電池駆動可
写真2.搬送を目的としたスーツケースに収納した超コンパクト真空ポンプ類一式