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独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原秀夫。)は、複数の人が同時に周囲から観察でき、立体映像を手に持ちながら楽しむことができる、今までに無い全く新しいコンセプトの3Dディスプレイを開発しました。 |
| 【背景】 |
NICTでは、遠隔地にいる人同士があたかも同じ場所を共有しているかのような感覚を再現できる超臨場感コミュニケーション技術の研究開発を進めており、そのための要素技術の一つとして特殊なメガネを掛けることなく自然に(裸眼で)立体映像を見ることができる技術の研究開発を進めています。現在の裸眼立体映像提示技術としては、微小なレンズアレイを利用したインテグラルフォトグラフィ*1 (IP)やレンチキュラ*2による多眼立体視、理想的な立体映像を再現できる電子ホログラフィ*3などが研究開発されています。しかし、これらは垂直に立てたディスプレイを正面から見ることを想定したもので、周囲から立体映像を見ることができなかったり、手に持てるほどの小型な装置ではありませんでした。今回NICTでは、IP技術を拡張することにより、複数の人が同時に周囲から立体映像を見ることができ、しかも手に持って映像を楽しむことができる全く新しいコンセプトの3Dディスプレイ「gCubik」を開発しました。 |
| 【今回の成果】 |
開発した3Dディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)とレンズ板の組を一つの面としてキューブ型に組み合わせた形をしており、キューブの内部に立体映像を再現することができます。LCDには、様々な方向から観察した映像が表示されており、LCDと組になったレンズの効果によって、ある方向から見たときには対応する適切な映像のみが見えるようになります。今までにもキューブ型ディスプレイの研究事例はありますが、これらは全て一人で使うことを想定しており、裸眼で複数の人と立体映像を共有することはできませんでした。今回開発したディスプレイを使用すると、図1〜図4に示すように、利用者がディスプレイを手に持ちながら様々な方向から立体映像を体感できるようになり、教育、工業製品のデザイン、ゲームなどにおける新しいコミュニケーションツールとしての利用が期待されます。 |
| 【今後の展望】 |
今回開発した3Dディスプレイは、立体映像の再現方法を実証するために、まずは3つの面を実装したものですが、今後は6面での実装やワイヤレス化、画質の改善などをはかり、3年以内には実用化していきたいと考えています。 |
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−成果展示 − |
| 本ディスプレイは、7月10日(木)、11日(金)に東京大学で開催される3次元画像カンファレンス2008 (http://www.3d-conf.org/)及び8月11日(月)〜15日(金)に米国ロサンゼルスで開催されるSIGGRAPH2008 (http://www.siggraph.org/s2008/)に出展します。 |
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| <用語 説明> | ||
| *1 | インテグラルフォトグラフィ 両目で物体を観察すると、ヒトの目には物体までの距離に応じてそれぞれ異なる像が写っている。これを視差と呼び、視差によってヒトは立体感を知覚する。インテグラルフォトグラフィは写真の上にたくさん並べた凸レンズの効果によって上下左右のあらゆる方向に視差を提示する方式である。撮影にもレンズ板を用い、各レンズの下には凸レンズを通過してきた複数の方向からの光が記録される。こうして撮影した写真を同じレンズ板を通して観察することにより、レンズを通過してきた方向の光がそれぞれ再現され、立体映像が観察される。 |
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| *2 | レンチキュラ インテグラルフォトグラフィの原理を左右方向だけに限定した裸眼立体視の技術。かまぼこ状の縦長のレンズ(レンチキュラ)を複数横に並べたレンズ板を用いて、左右方向の視差のみを再現する。 |
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| *3 | 電子ホログラフィ 既存のホログラフィでは撮像面(ホログラム)を仮想的な窓に見立て、窓の前後に配置された物体の表面で拡散し、その窓を通過してゆくあらゆる光の状態を、レーザーとアナログ写真のような手法で記録する。そして特定の光をホログラムに当てることにより、記録した光の状態が再生される。そのため、あらゆる視点位置からホログラムを観察しても、その窓を通して見えるはずの物体の形状が完全に再現されて観察される。電子ホログラフィは電子的に制御可能な手段によってホログラムを実現しようとするものである。 |
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図1 開発したキューブ型3Dディスプレイ「gCubik」の概念図
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図2 試作したディスプレイの外見
(大きさ:10cm四方程度) |
図3 表示されているアヒルを横から観察した例 |
![]() 図4 表示されているサッカーボールを斜め上から観察した例 |
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