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独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫。)は、広帯域無線通信信号や電磁雑音のスペクトラム統計量をリアルタイムで測定する技術を世界で初めて実現しました。この技術によって、近年普及しているOFDM方式*1の無線LANや地上デジタル放送の電波が持つ統計的性質が、短時間で正確に測定できるようになります。こうした成果によって、実際の電磁環境を正確に模擬した電磁的耐性試験が可能となり、電子・医療機器が電波によって“誤動作しない能力”の向上や、こうした技術指針の確立等に貢献します。さらに、本測定技術を電子機器から生じる電磁雑音に対して応用することにより、例えば通信機器内部の電磁的干渉によって生じる通信性能劣化の推定も可能になるなど、イントラEMC問題*2の有効な解決手段としても期待されます。
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| 【背景】 |
| 電波利用の発展と共に、無線電波による電子・医療機器への影響や、電波利用機器間の相互影響に関する社会的関心が高まっています。こうした問題の原因となる電磁波は、通常、周波数対強度分布が不規則に変動するため、統計的な手法を用いた評価が必要とされています。しかし、広帯域なデジタル無線信号や、高速プロセッサを搭載した電子回路から放射される広帯域電磁雑音に対しては、単一周波数での統計量測定を周波数を変えながら繰り返し行う必要があり、現実的な手法が確立されていませんでした。 |
| 【今回の成果】 |
| 本測定技術は、スペクトル分析を行う高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier Transform)部と、スペクトラム統計量演算部とを組み合わせて初めて実現しました。実際の測定装置(リアルタイム電磁波スペクトラム統計量測定ボード)では、FPGA*3を利用し、振幅確率分布(APD)*4と呼ばれる統計量が、最大5000以上の周波数ポイントにおいてリアルタイムで測定可能です。この装置は、平成20年7月10日(木)にNICTで開催予定のEMC-net APD応用研究会で展示する予定です。 |
| 参照(http://www2.nict.go.jp/y/y224/emc-net/pdf/4th_APD_annnai_080710.pdf) |
| 【今後の展望】 |
| 本技術を用いた測定結果は、電波利用機器や電子機器間の電磁的両立性(EMC)試験法の電波国際・国内規格の改訂などに反映され、電波環境の改善と電子・医療機器に対する電波の安全性の向上に役立てられると期待されます。さらに、本測定技術は、振幅確率分布測定に類する測定機器開発企業の参入拡大にもつながります。 |
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| <用語 説明> | ||
| *1 | OFDM(Orthgonal Frequency Division Mulplexing)方式 |
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| 直交周波数分割多重方式と呼ばれ、無線通信や放送で用いられるデジタル変調方式の一つです。マルチパスに強く周波数利用効率が高いことから、無線LANや地上デジタル放送などの多くの無線通信システムに採用されています。 | ||
| *2 | イントラEMC問題 ※ EMC: Electro-Magnetic Compatibility (電磁両立性) |
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最近、携帯電話やワンセグ受信機能付ゲーム機のような、通信(受信)機能を持つ小型電気・電子機器において、その内部回路から発生する電磁放射が機器の通信(受信)感度を劣化させる現象が問題となっています。これらの問題はイントラEMC(“intra”は「内部の」を表す英語の接頭辞)と呼ばれ、効果的な対策を行うための信号測定技術や通信(受信)感度評価技術の確立が求められています。 |
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| *3 | FPGA(Field Programmable Gate Array) |
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利用者によりプログラムされた論理回路の書き込み、動作させることが可能なゲートアレイです。 |
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| *4 | 振幅確率分布(APD:Amplitude Probability Distribution |
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| 統計量を表わす要素の一つであり、全測定時間と、被測定信号があるレベル(振幅)を超えた時間割合(時間率)のことです。 | ||
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図1 リアルタイム電磁波スペクトラム統計量測定ボード |
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図2 測定結果の例 |
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