|
|
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫。)は、千葉大学(学長:齋藤 康。)との共同研究により開発した電波と人体との相互影響*1を調べるための日本人妊娠女性の全身数値モデルデータベースを、非営利の研究目的に対して無償公開を開始します。本モデルは、妊娠女性を対象とした世界初の本格的な全身モデルデータベースであり、電磁環境分野に携わっている国内外の研究者から大きな注目を集めています。 |
| 【背景】 |
近年、一般の人々のごく近くで電波が利用されています。そうした中で、無線通信機器等から発生する電波が妊娠女性(胎児)内部でどのように振る舞い、影響を及ぼすかをコンピュータ上で正確にシミュレーションするために、妊娠女性を対象とした数値人体モデル*2が必要とされていました。そこで、NICTは千葉大学と共同で、妊娠26週の日本人女性の数値人体モデルの開発に取り組んできました。(補足資料: 図1、表1) |
| 【モデルの概要・成果】 |
本モデルは、胎児など、妊娠女性固有の組織を含む56種類の組織・臓器を有し、約710万個の2mm立方体ブロックから構成されています。NICTは、このモデルを利用して、電波の全身ばく露*3時及び局所ばく露*4時の妊娠女性内部に吸収される電力をこれまで以上に高精度に推定することを可能としました。 |
| 【データ公開】 |
NICTは既に、日本人成人男女の数値人体モデルデータベースを公開し、同データは様々な分野の最先端研究に利用されています(補足資料:図3 )。そこで、本データベースも成人男女データベースと同様に、広範な研究分野で利用してもらうことを前提に、非営利の研究目的に対し、無償で本データベースを公開することにしました。本データベースの公開は平成20年7月4日(金)から開始いたします。 |
詳細は以下のWebページをご覧ください。 |
【今後の展望】 |
妊娠26週の平均的体型を有する女性を模擬した本モデルについて、さらに画像データ処理の工夫を加えるなど、より平均的な身体特徴を有したモデルに近づけるための改良を図ります。 |
|
| <用語 説明> | ||||
| *1 | 電波の人体への影響 | |||
| 電波が人体に及ぼす影響について、50年以上にわたって世界各国で研究が行われてきており、その膨大な研究成果によって、携帯電話端末などの電波については熱作用に基づいた電波防護指針が定められている。電波による熱作用の評価には体内への電力の吸収量が指標として用いられ、数値人体モデルを利用した数値シミュレーションによって、正確かつ詳細な評価を行うことが必要である。 | ||||
| *2 | 数値人体モデル | |||
| 人体(組織・臓器)の形状を微小な要素(本モデルでは一辺が2mmの立方体ブロック)の集合体として表現したもの。各微小ブロックはその部位に対応する組織・臓器名が与えられており、その組織・臓器に対応する電気定数を与えることで電磁界解析シミュレーションに用いることができる。 | ||||
| *3 | 全身ばく露 | |||
| 人体の局所に偏らず全身が電磁界にさらされる場合を全身ばく露という。必ずしも全身が均一にばく露されるとは限らないが、局所ばく露*4ではない場合を全身ばく露と呼ぶ。 | ||||
|
||||
| *4 | 局所ばく露 | |||
| 人体の一部が集中的に電磁界にさらされる場合を局所ばく露という。この局所ばく露には、人体の大きさより小さなアンテナの近傍での照射や波長の短い電波によるスポット的な照射などによる場合も含まれる。 | ||||
|
||||
|
|||
| 図1 |
日本人妊娠女性モデル(左:正面からの断層画像、中:横からの断層画像、右:体表画像)。断層画像内の灰色の部分が胎児を示している。 | ||
|
表1 これまでに開発されている妊娠女性モデルの概要 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (1) | HPAモデルはMRI画像に基づいて開発されたNAOMIと妊娠女性固有組織を球や円柱等の数式で表現したハイブリッドモデル。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| (2) | FDAモデルは妊娠女性のMRI画像に基づいて開発されたCADモデルであり、体幹部分のみがモデル化されている。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||