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独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原秀夫)は、フルハイビジョン画質で、大型の裸眼3Dディスプレイを実現するための技術を考案し、総画素数1億画素以上となる3Dディスプレイを試作しました。この成果により、映画館にあるような大画面で複数の人が同時に自然な立体映像を楽しむことができるシステムの実現に一歩近づきました。
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| 【背景】 |
| NICTでは、超臨場感コミュニケーション技術の研究開発を進めており、そのための要素技術の一つとして特殊なメガネをかけることなく自然に立体映像を見ることができる技術の研究開発を進めています。現在の裸眼(特殊なメガネを必要としない)立体映像技術では、立体像を見ることができる位置(視点)を限定して、各視点で左右の眼に入る画像をパララックスバリア*1やレンチキュラ*2を用いて提示する3Dディスプレイが実用化されてきていますが、表示デバイスの限界から再生像の解像度は比較的低く、頭を移動してその方向から適切な立体像を見ることができる範囲(視域)も限定されていました。一方、視点を限定するのではなく、物体から出ている光線を再現する空間像表示方式*3や、理想的な立体映像を再現できる電子ホログラフィ*4などの研究開発がなされていますが、これらはまだ研究段階です。このような背景から、NICTでは、高品質で、しかも大画面かつ広い視域で立体視できる技術の開発に取り組んできており、今回、フルスペックハイビジョンの解像度をもつ大画面の裸眼3Dディスプレイ試作機を日本ビクター株式会社と共同で開発しました。 |
| 【今回の成果】 |
| 試作した3Dディスプレイは、中核となる1億画素以上の表示性能を持つプロジェクタアレイを内蔵しています。プロジェクタアレイと、スクリーンなどの周辺光学系を組み合わせて様々に光線群を制御して投射することで立体像の提示が可能となります。今回のデモでは、総画素の一部を利用しているため、フリッピング*5が生じる問題はありますが、70インチスクリーンに再生された映像はフルスペックハイビジョンの画質であり、加えて視域はスクリーン幅程度まで広がり、総表示画素数及びスクリーンサイズの点で世界最高水準となっています。これまでにも同様の方式を採用した裸眼3Dディスプレイの開発事例はありますが、今回は専用設計のプロジェクタから構成される、非常に実装密度の高いプロジェクタアレイを新たに開発したことで、総画素数で世界最大級を実現しました。今回開発したディスプレイ技術を更に発展させていくことで、将来は200〜300インチ相当の大画面でも裸眼立体映像を楽しむことが可能になると考えられ、自動車や家電などの工業製品のデザイン、博物館などでの体験学習、遠隔地とのコミュニケーションツール、エンタテイメント用途などにおける新しい映像表示システムとしての利用が期待されます。 |
| 【今後の展望】 |
| 今回開発した3Dディスプレイ試作機は、立体像の再生方式を検証するため70インチのスクリーンを利用していますが、今後は更なる大画面化、フリッピングを取り除くなど高品質化を図り、3年以内には実用に向けたプロトタイプを開発する計画を立てています。
なお、本システムは9/30(水)〜10/4(土)に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2008」http://www.ceatec.com/ に出展します。 |
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| <用語 解説> | |
| *1 | パララックスバリア |
両目で物体を観察すると、ヒトの目には物体までの距離に応じてそれぞれ異なる像が写っている。これを視差と呼び、視差によってヒトは立体感を知覚する。二枚の画像を縦に細長く切断し、交互に並べて、その前に開口部のある遮光バリアを配置すると、バリアの開口部を通過する光線が、左右の眼に届く。この原理に基づき、左右方向に限定して視差を提示する裸眼立体視する方式である。 |
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| *2 | レンチキュラ |
| パララックスバリア方式と同様の原理に基づいた裸眼立体視する方式だが、遮光バリアに代わりかまぼこ状の縦長のレンズ(レンチキュラ)を複数横に並べたレンズ板を用いて、左右方向の視差のみを再現する方式である | |
| *3 | 空間像表示方式 |
| パララックスバリア方式やレンチキュラ方式と異なり、両眼に入る視差画像を再現する方式ではなく、実物体と同様に実物からの光線を再現する方式であり、光線の進行方向を制御して空間像を再現する方式である。 | |
| *4 | 電子ホログラフィ |
| 既存のホログラフィでは撮像面(ホログラム)を仮想的な窓に見立て、窓の前後に配置された物体の表面で拡散し、その窓を通過してゆくあらゆる光の状態を、レーザーとアナログ写真のような手法で記録する。そして特定の光をホログラムに当てることにより、記録した光の状態が再生される。そのため、あらゆる視点位置からホログラムを観察しても、その窓を通して見えるはずの物体の形状が完全に再現されて観察される。電子ホログラフィは電子的に制御可能な手段によってホログラムを実現しようとするものである。 | |
| *5 | フリッピング |
| 立体映像もそれぞれの方向から適切な映像が見えるが、頭を移動した際に連続的ではなく、暗転した後に急に角度が変わって映像が見える現象である。 | |
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図1 高画質・大画面裸眼3Dディスプレイの概念図 |
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図2 試作した裸眼3Dディスプレイ |
表1 試作した裸眼3Dディスプレイの諸元 |
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