報道発表


  • 複数キャリア間の光ネットワークの経路計算サーバの相互接続に成功
    〜高信頼な大規模光ネットワークの実現に向け大きく前進〜


  • 平成20年10月17日


 けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会・相互接続性検証ワーキンググループ(以下「相互接続WG」、主査:慶應義塾大学教授 山中 直明)は、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長: 宮原 秀夫)の、けいはんな情報通信オープンラボを活用し、将来の光ネットワークのキャリア(通信事業者)間相互接続において、効率的な通信回線経路を求めるためのプロトコルであるPCEP(Path Computation Element Communication Protocol)の相互接続実験に、世界に先駆け成功しました。
  PCEPはIETF (Internet Engineering Task Force) において国際標準化が進められているプロトコルであり、その有効性を検証するため、相互接続WGにおいて、株式会社KDDI研究所(以下「KDDI研」)、日本電気株式会社(以下「NEC」)、日本電信電話株式会社(以下「NTT」)、株式会社日立製作所(以下「日立製作所」)の共同によりPCEPを用いた複数キャリア間の相互接続実験プロジェクトを推進してきました。
  今回の実験では、キャリア内部のネットワーク構成を公開することなく、複数の通信回線経路を計算する手順を確認しました。この成果は、複数のキャリアを経由して高信頼な経路を計算するための基本技術が確認できたことを示すもので、将来の大規模光ネットワークの実現に向けて大きな前進となりました。 この実験内容を、10月19日〜22日にワシントンDCで開催される国際会議MPLS2008において展示します。  



【背景】
今日のネットワークは、急速なブロードバンド化の進展に伴い、トラヒックが増加し続けており、これに対応するために光技術を用いたネットワークの大容量化が求められています。すなわち、世界規模で複数のキャリア(通信事業者)が提供する光ネットワークを相互に接続する技術が必要となります。 
これを実現するためには、複数のキャリアに跨った適切な経路を算出する技術が必要でした。複数のキャリアが相互接続された大規模なネットワークでは、ネットワークの全体構成を一元的に把握することが困難であり、ネットワーク全体にわたって経路を計算することが課題でした。 
また、セキュリティの面から、キャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく、複数のキャリアに跨った経路を計算することが求められていました。 
   
【今回の成果】
1.

複数の異なるキャリアの光ネットワーク間に跨った経路計算を行うために、経路計算サーバ間のPCEPを用いた通信の相互接続実験に成功しました。 

2. 複数の異なるキャリアの光ネットワーク間に跨った経路計算を行う際に、お互いのキャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく、経路を計算することに成功しました。 
3. 複数の異なるキャリアの光ネットワーク間を跨いだ互いに重複しない現用経路および予備経路を計算することに成功しました。 
 
【今後の展望】
今回の相互接続実験の成功を踏まえ、今後は、海外の企業やコンソーシアムとも連携して、相互接続性の向上に努めます。
また、PCEPの国際標準化を進めているIETFなどの組織に対して、相互接続実験の報告を行い、国際標準仕様の完成に寄与していく予定です。 


< 本件に関する 問い合わせ先 > < 報道関係からのお問い合わせ先 >
情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究センター ネットワークアーキテクチャG 大槻英樹、三輪賢一郎  総合企画部 広報室 報道担当
Tel:042-327-6931、7275 Fax:042-327-6680 E-mail:eiji@マークnict.go.jp、kmiwa@マークnict.go.jp Tel:042-327-6923 
けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会事務局(代表)NICTけいはんな研究所内 生野  Fax:042-327-7587
Tel:0774-98-6806 Fax:0774-98-6955 E-mail:kyogikai-info@マークkhn.nict.go.jp E-mail:publicity@マークnict.go.jp 






 
 
【背景の詳細】
インターネットの普及により、今日のネットワークは、世界規模で相互に接続されることが必要 不可欠となっています。また、急速なブロードバンド化の進展に伴い、トラヒックが増加し続けており、これに対応するために光技術を用いたネットワークの大容量化が求められています。すなわち、世界規模で複数のキャリア(通信事業者)が提供する光ネットワークを相互に接続する技術が必要となります。 
   
これを実現するためには、複数のキャリアに跨った適切な経路を算出する技術が必要でした。光ネットワークの場合、ベストエフォートのインターネットとは異なり、必要なネットワーク資源が確保できる経路に沿って、光パスと呼ばれる回線を事前に設定する必要があります。複数のキャリアが相互接続された大規模なネットワークでは、ネットワークの全体構成を一元的に把握することが困難であり、ネットワーク全体にわたって経路を計算することが課題でした。 
   
また、セキュリティの面から、キャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく、複数のキャリアに跨った経路を計算することが求められていました。さらに、ネットワークの信頼性を向上させるため、エンドツーエンドで現用の経路とは重複しない予備の経路を計算する必要がありました。このためには、複数のキャリアに跨って、現用の経路がどこを通っているかを把握する必要があり、キャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく計算することは困難でした。 
   
【成果の詳細】
上記の課題を解決するために、経路計算サーバをキャリア毎に配置し、経路計算サーバ同士が経路計算プロトコルであるPCEP(Path Computation Element Communication Protocol)を用いて通信することで、複数のキャリアに跨った経路を分散的に計算することが可能となります。 
   
また、この際、Path Keyと呼ばれるタグ情報を用いることで、複数のキャリアに跨って、キャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく、経路を計算することが可能となります。さらに、このPath Keyを経路計算の除外条件に用いることで、エンドツーエンドで経路が互いに重複しないような複数の経路の計算も、複数のキャリアに跨って、キャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく算出が可能となります。 
   
 今回の実験で、複数キャリアの光ネットワークの相互接続を想定した図1に示すネットワークモデルにおいて、PCEPの相互接続により、複数の経路計算サーバによる分散的な経路計算を世界で初めて成功しました。主な成果は以下の点です。  
 
(1) 複数の異なるキャリアの光ネットワーク間に跨った経路計算を行うために、経路計算サーバ間のPCEPを用いた通信の相互接続実験に成功しました。 
(2) 複数の異なるキャリアの光ネットワーク間に跨った経路計算を行う際に、お互いのキャリアの内部のネットワーク構成を公開することなく、経路を計算することに成功しました。 
(3) 複数の異なるキャリアの光ネットワーク間をまたいだ互いに重複しない現用経路および予備経路を計算することに成功しました。
 

 (相互接続WGは、光ネットワークのキャリアネットワークへの本格的導入を前に、相互接続性検証の議論の場を提供し、キャリアとベンダの協力を得て技術発信を行いました。)

     







 
 
図1:キャリア間PCEP相互接続実験構成モデル

図1:キャリア間PCEP相互接続実験構成モデル

 
 
【展望の詳細】
 今回の相互接続実験の成功を踏まえ、今後は、海外の企業やコンソーシアムとも連携して、相互接続性の向上を進めます。また、PCEPの国際標準化を進めているIETFなどの組織に対して、相互接続実験の報告を行い、国際標準仕様の完成に寄与していく予定です。このように、相互接続WGは参加企業と共同して、今後もキャリア間光ネットワーク相互接続の確立と日本発の国際標準化獲得に向けた研究開発を推進していく予定です。 







 
 
< 用語 解説 >
1. けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会・相互接続性検証ワーキンググループ
   けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会は、NICTが設置したけいはんな情報通信オープンラボの有効活用を図りながら、産学官連携によるIT分野の研究開発を推進することにより関西経済の発展に資することを目的とする協議会。主に関西圏の企業、大学等を中心に、会員数は121(平成20年10月現在)。
  相互接続性検証ワーキンググループは、同協議会の傘下のワーキンググループであり、新世代の光ネットワークの相互接続性に関して、様々な提案や検証を行っている、NICTを含む13機関からなる共同研究グループである。(ワーキンググループ主査:慶應義塾大学 山中 直明)
    http://www.khn-openlab.jp/bunkakai-gw/kokino-net/sousetsu/index-j.html 
   
2. PCEP 
   Path Computation Element Communication Protocol。経路計算サーバ間で経路計算要求・応答を行うための通信プロトコルである。IETF(Internet Engineering Task Force)において国際標準仕様を策定している。  
   
3. 実験参加各社
  株式会社KDDI研究所(代表取締役所長:秋葉 重幸) 
     
  日本電気株式会社(代表取締役執行役員社長:矢野 薫) 
      さとし
  日本電信電話株式会社(代表取締役社長:三浦 惺)
     
  株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫) 
     
4. 国際会議MPLS2008
   MPLS(Multi-Protocol Label Switching)2008 International Conference。1998年から毎年開催されているMPLS・GMPLSの分野で最も大きい国際会議。次世代インターネット、IP-Opticalネットワーク、イーサネット/MPLSサービス等を議論のフィールドとしており、各社の展示や機器の相互接続デモも開催される。  
    OCTOBER 19-22, 2008, OMNI SHOREHAM HOTEL, Washington, DC
   http://www.isocore.com/mpls2008/ 
   
5. 以下のプロトコル仕様に基づく
  “Extensions to the Path Computation Element Communication Protocol (PCEP) for Route Exclusions, ”IETF Internet Draft, Work in Progress   
  除外する条件を指定して経路計算を行うためのPCEPの拡張プロトコル 
  NTT等がIETF(Internet Engineering Task Force)に標準化提案している。 
     
* PCEPプロトコルの標準化の一部は、総務省委託研究SCOPE-I「光ネットワークのキャリア間インタフェイスの標準化」により行っています。 
* 本実験にNTTが用いた技術の一部には、総務省委託研究「次世代バックボーンに関する研究開発」の成果を適用しています。 
* 本実験にNECが用いた技術の一部には、情報通信研究機構(NICT)の委託研究「λユーティリティ技術の研究開発」(総務省が推進する「フォトニックネットワーク技術に関する研究開発」の一研究課題)プロジェクトの成果を適用しています。