報道発表
毎秒80ギガビット(8ユーザ×10Gbps)光CDMA信号の1芯ファイバ、同一波長、
双方向同時通信に成功
~ 対称10ギガビット級アクセスネットワークの実現へ ~
2009年8月31日
独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)は、大阪大学、株式会社フジクラ、NTTエレクトロニクス株式会社と協力し、
光符号分割多重アクセス(OCDMA: Optical Code Division Multiple Access)システムのプロトタイプ化に成功しました。これらを用いて1本の光ファイバに同時に双方向からユーザ当たり10Gbpsデータの8ユーザ多重伝送を同一波長帯・非同期で行うことに世界で初めて成功しました。本技術の開発により、各加入者へ供給可能な伝送帯域が上り下り回線共に向上します。実用化されれば、ピア・ツー・ピアアプリケーションや超高精細映像ストリーム等の新規サービスの市場開拓が期待されます。
なお、本研究成果は9月23日にオーストリア ウイーンで開催された国際会議「ECOC2009」にて発表されました。
また、7月23日に開催されたフジサンケイビジネスアイ主催 第23回先端技術大賞において、フジサンケイビジネスアイ賞を受賞しました。
【背景】
OCDMA技術は超高速性と大容量性を併せ持つばかりでなく、柔軟、且つ秘匿性の高い安全なネットワーク構築が可能な新世代のアクセス方式として注目されています。OCDMA技術では、光符号と呼ばれるユーザ毎に異なる鍵をそれぞれ与え,この鍵で通信データを1ビットずつ符号化(暗号ではないが符号を知らないと解読できない)する事により、同じ波長帯で同一時刻に信号の多重化を可能にします(
図1参照)。これは携帯電話の方式として実用化されているCDMA方式の光通信版と言えます。
OCDMA技術に関する提案や実証はこれまで多くの機関により報告されてきましたが、そのほとんどが実験室内で行ったものであり実用化には程遠いものでした。また、干渉雑音の影響により各ユーザ当たり毎秒10
ギガビットクラスの信号を非同期で通信する事が困難でした。
【今回の成果】
今回、NICTでは
10ギガビットイーサネット形式の信号により非同期動作を可能とするOCDMAプロトタイプを世界で初めて開発しました(
図2参照)。今回開発したプロトタイプは、送・受信器がそれぞれ1つの筐体に収容され、汎用性のあるインターフェースを持つため、遠隔地および非同期環境での使用が可能となります。
また、本プロトタイプを用いて、非同期環境下で1本の光ファイバに同時に双方向からユーザ当たり10Gbpsデータの8ユーザ多重50km伝送を同一波長帯で行うことに世界で初めて成功しました(
図3参照)。従来は上り下りの信号は異なる波長を用いて20km程度のネットワークを想定したものでしたが、今回開発した技術により波長の利用効率を飛躍的に向上することが可能となります。
【今後の展望】
今回の開発により、ピア・ツー・ピアでの大容量、超高速伝送が実現すると、さまざまな通信サービスが可能になります。今後は、さらにユーザ(多重)数を増加させ、装置の小型化を行い、実用化を目指していきます。
<取材依頼及び広報 問い合せ先>
総合企画部 広報室
報道担当 廣田 幸子
Tel :042-327-6923
FAX:042-327-7587
< 本件に関する 問い合わせ先>
新世代ネットワーク研究センター
超高速フォトニックネットワークグループ
片岡 伸元、和田 尚也
Tel :042-327-6873
Fax:042-327-7035

補足資料

図1 光符号分割多重アクセス技術の概要

図2 OCDMAプロトタイプ構成図

図3 8×8ユーザ双方向非同期伝送実験
<用語 解説>
光符号分割多重アクセス(OCDMA:Optical code division multiple access)
多重通信方式の一種。送信側ではチャネル毎に異なる光符号で信号を符号化し、受信側では同一の光符号を鍵として復号化することによって、同じ波長の信号を同時に複数のチャネルに割り当てる多重通信方式。
ギガ
10の9乗 =1,000,000,000 =10億
10ギガビットイーサネット
IEEEにて標準化された通信方式。開発したインターフェースでは、光ファイバケーブルを媒体に用いた10GBASE-LR、10GBASE-SRという規格の毎秒10 ギガビットのイーサネット信号を処理できる。イーサネットは以前、LANの通信方式であったが、最近ではギガビットを越えるものは広域ネットワークでも用いられるようになっている。
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