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プレスリリース

UWBハイバンドを用いたBANシステムの開発に初めて成功
~ 国内UWB制度に準拠・TELEC認証済 ~

2010年5月10日

  •    独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)は、UWB ハイバンド (7.25~10.25 GHz)を用いたボディエリアネットワーク(BAN)の開発に成功しました。UWBの制度上、UWBハイバンドは2011年以降も継続利用が可能であり、人体に取り付けやすい腕時計型など装置の小型化やUWBの特長を生かした省電力化も実現しました。
       このシステムを用いれば、健康見守りなどで重要視されている各種人体データのリアルタイム収集が可能になるほか、高い伝送速度を生かしてゲームコントローラなどへの搭載も考えられ、また、既存のインフラと組み合わせて用いることで、信頼性の高い健康・安全ネットワークが構築できます。
 
【背景】
   生活習慣病予防や高齢者見守りなどの医療福祉活動を効率的に行うために、日常から各種の人体データ(心電、血圧、体重等)をモニターし、体の健康状況を把握することは重要とされています。人体データをリアルタイムに収集する技術として、ボディエリアネットワーク(BAN)が注目され、標準化委員会IEEE802.15のタスクグループTG6では標準規格の策定が行われています。
   UWBは伝送速度が高く、他の無線システムとの共存を図りやすいなどの利点があり、BANを構築する有力な技術の一つです。UWBローバンド(3.4~4.8 GHz)は、国内でのUWBの制度上、2011年から干渉軽減技術の導入が義務付けられる予定のため、装置の複雑化や利用上の制約の大きくなることが懸念されていました。
 
【今回の成果】
   この度、NICTでは、2011年以降も継続して利用可能なUWBハイバンド(7.25~10.25 GHz)を用いたBANシステムを開発し、腕時計型やペンダント型等の人体へ取り付けやすい装置の小型化を図りました。特にUWBの高速伝送特性を利用して、各BAN装置からの人体データの送信時間間隔を短くし、それ以外の時間に送受信を停止させることによって、装置の省電力化とともに同時接続できるBAN端末の数の増大を図る技術を導入して、その動作を確認いたしました。
 
【今後の展望】
   UWBハイバンドを用いたBANシステムはTELEC認証を受けており、免許を必要としないため、普及が期待されます。今後はIEEE802の標準化動向を注視しながら、同規格との協調を図る予定です。なお、5月13日(木)~14日(金)に開催予定のWTP(ワイヤレス・テクノロジー・パーク)2010にて本システムを展示いたします。
 
 

< 研究内容に関する 問い合わせ先 > < 広報 問い合わせ先 >
新世代ワイヤレス研究センター 総合企画部 広報室
医療支援ICTグループ 報道担当 廣田 幸子
李 還幇、浜口 清 TEL:042-327-6923
TEL:046-847-5098 publictiy
cognitive  

<用語 解説>
UWB(Ultra Wide Band):
   UWB(超広帯域)とは、非常に広い周波数帯域幅にわたって電力を拡散させて、数百Mbps規模の高速通信まで可能とする無線システム(あるいは無線技術)であり、電力を抑え周波数を重畳して利用することにより、他の無線システムとの共存が図れる技術として注目されています。国内では2005年8月、通信用途のマイクロ波帯UWB無線システムが制度化され、既にその利用が始まっています。一般にUWBが割り当てられている周波数帯は2つあり、UWBローバンド(3.4~4.8 GHz)、UWBハイバンド(7.25~10.25 GHz)と呼ばれます。
 

UWBハイバンド(Ultra Wide Band High-Band):
   UWBハイバンド(7.25~10.25 GHz)は、干渉軽減技術の導入が予定されているUWBローバンド(3.4~4.8 GHz)に比べて、2011年以降も継続して最大-41.3 dBm/MHz(現在の制度で規定されている1MHz当たりの実効輻射電力レベル)の空中線電力での利用が可能です。さらに、UWBハイバンドは、海外(アメリカ、欧州等)と共通に使える周波数バンドがあり、製品を海外へ展開しやすい利点があります。今回は株式会社日本ジー・アイ・ティーのインパルス型UWBの技術を使い、初めてUWBハイバンドを用いたBANを実現しました。
 

タスクグループTG6:
   タスクグループTG6は、2007年12月にIEEE 802標準化委員会の承認を受けて成立した標準化タスクグループです。標準化対象はボディエリアネットワークの物理層(PHY)とメディアアクセス制御層(MAC)の2つがあり、2010年3月の会合で全24提案の一本化を実現し、現在標準規格を精力的に策定しています。なお、現在策定中の標準規格案には、物理層としてUWBの採用が予定されています。
 

干渉軽減技術の導入:
   通信用途のUWB無線システムの実効輻射電力レベルは、現行制度の規定により最大-41.3 dBm/MHzとされていますが、日本国内では次世代携帯電話サービスへの影響を懸念し、UWBローバンド(3.4~4.8 GHz)において最大実効輻射電力レベルが-70 dBm/MHzと定められています。ただし、他の無線システムに対して干渉検出と回避を行う干渉軽減技術を用いれば、最大-41.3 dBm/MHzでの利用が認められています。また、時限措置として2010年末まで干渉軽減技術を用いなくても、4.2~4.8 GHzにおいて最大実効輻射電力レベル-41.3 dBm/MHz での利用が認められています。
 

TELEC認証:
   財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)等では、電波法第38条の規定に基づいて小 規模な無線局に使用するための無線設備の技術基準適合証明・工事設計の認証業務を実施しています。TELEC認証に合格すると、UWBのような小電力無線システムは免許取得の必要がなくなり、ユーザが簡便に使えるメリットがあります。

補足資料

BAN システムの特徴と利用イメージ
BANシステムは腕時計型、ペンダント型、ベルト装着型及び固定型端末など様々な形があります(図1を参照)。これらの端末はそれぞれ血中酸素飽和度(SpO2)、心電、三次元加速度、体重センサー等と組み合わせて用います。
BANシステムは国内のUWB技術基準に合致し、TELEC認証に合格していますので、免許なしでの利用が可能です。
それぞれの端末は時分割でBANコーディネータと通信を行い、それぞれのセンサーが取得したデータは、ほぼリアルタイムに収集されます。
省電力化するため、個々のデバイスは割り当てられた時間間隔(タイムスロット)でのみ送受信を行い、それ以外の時間帯は送受信を行わないスリープモードを設けています。
BAN システムの特徴と利用イメージ
図1 BANシステムの利用イメージ
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