海洋・宇宙ブロードバンド
衛星通信ネットワークの基盤技術の研究開発

海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信ネットワークの基盤技術の研究開発

海洋資源調査を始めとする海域の船舶や、空域の航空機、災害発生時等に対して、衛星通信を活用したブロードバンド通信の実現が期待されています。こうした海洋、航空を含む宇宙空間、非常災害時に100メガビット/秒級のブロードバンド通信を提供する衛星通信の基盤技術の確立に向け、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)で培ったブロードバンド通信技術の成果を踏まえ、現在、研究開発を進めています。

システムイメージ図ネットワーク統合制御技術のイメージ図

研究概要

近年、海洋資源調査等の船舶向けや航空機へのブロードバンド通信、耐災害通信の重要性が高まっています。これらは地上系通信では代替できない衛星通信の広域性、耐災害性を活用できる用途であり、衛星通信がその役割を果たすことが期待されています。また、ハイスループット衛星(High Throughput Satellite: HTS)と呼ばれるKa帯とマルチビームを採用した大容量の衛星通信システムが登場してきており、衛星通信の大容量化技術の開発が進展しています。情報通信研究機構(NICT)では、超高速インターネット衛星「きずな」(Wideband InterNetworking engineering test and Demonstration Satellite: WINDS)で培ったKa帯ブロードバンド衛星通信技術をベースに、HTSの開発動向を踏まえて、次世代の海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信ネットワークの基盤技術の研究開発を推進しています。

本衛星通信ネットワークのシステムイメージを左図「システムイメージ図」に示します。本システムでは、洋上の船舶、航空機等へのブロードバンド回線の提供、災害時のバックホール回線等の耐災害通信回線といった通信サービスを典型的なユースケースとして、ユーザ当たり100Mbps超の高速・大容量の移動体通信や可搬局への通信を想定しています。サービスエリアは日本の排他的経済水域(EEZ)をカバーすることを想定しており、こうした広域においてユーザのトラヒック要求が空間的、時間的に変動する状況に対応するため、フレキシブルな中継機能(周波数可変、ビーム可変機能)を衛星に搭載します。大容量化を実現する技術として、ユーザリンクにはKa帯を利用し、ゲートウェイ局を通じてコアネットワークに接続されるフィーダリンクにはKa帯に加え、より大容量化を実現可能な光通信を利用します。

上記のシステムイメージおよびサービス条件のもとで通信ペイロードおよび地球局の構成の概念検討を進めています。本システムの特徴は、大容量かつフレキシブルな中継器を柔軟に切り替えて適切な回線をユーザに提供することであり、これを実現するキー技術となるネットワーク統合制御技術の研究開発を行っています(左図「ネットワーク統合制御技術のイメージ」)。中継器には、トラヒック要求の変動に対応して各ビームに割り当てる周波数リソースやビーム間の接続を柔軟に変更できるチャネライザ(Channelizer)や、カバレッジやビーム配置を可変できるディジタルビーム形成回路(Digital Beam Former:DBF)を搭載し、ユーザリンクの衛星リソースを適切にトラヒック要求に割り当てます。また、フィーダリンクにはKa帯のほか、大容量通信が可能な光リンクを装備し、Ka帯/光回線を回線状況に応じて適切に切り替えて運用します。本衛星システムの中継器が有するこのようなフレキシブルな機能を統合的に制御し、高効率にシステムを運用する方式の確立が技術課題です。

NICTは、海洋・宇宙ブロードバンド衛星通信ネットワークの基盤技術の研究開発において要素技術ならびに通信システム技術の研究を行い、平成33年度に打上予定の次期技術試験衛星計画に反映することを目指しています。

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その他カテゴリ 2016.09.15

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