過去の研究開発と宇宙実証

GOLEM

GOLEMとは

「Ground-to-Orbit Laser transmission Experiments with MicroLabSat」 の略称で、JAXAのμ-LabSat(マイクロラブサット)衛星に搭載されたカメラに向けてCRL光地上局(現:NICT光地上局)の1.5m望遠鏡からレーザを伝送し、衛星による軌道上追尾をレーザスポットを用いて行われた実験です。 本実験を行うことで、小型衛星における光宇宙通信のためのソフトウエア捕捉追尾技術の検証や、大気のレーザ伝搬特性などが取得できます。 また、地上-低軌道衛星間の大気を介した光波伝搬データの取得と、今後の光衛星通信分野への基礎データとしての寄与、NICT光地上局においては、OICETS衛星との地上-衛星間光通信実験やSmartSat-1実験に対し追尾指向性能の検証となります。

 

> OICETS衛星との地上-衛星間光通信実験

GOLEMの意義・目的

1.地上から伝送したレーザ光を、軌道上の小型衛星に搭載したカメラで確認することで、レーザスポットを受光し、ターゲットと見立てた追尾を行う。また、これにより地上-低軌道衛星間におけるマイクロ衛星での光通信の可能性を示し、デモンストレーションを行います。

 

2.CRL光地上局の捕捉追尾性能が維持されていることを確認する。

 

3.衛星で確認されたレーザ光の強度から光通信の回線稼働率がどの程度期待できるかの情報を取得します。

 

4.衛星を追尾する制御系の動作を確認することで、OICETS実験やスマートサット実験などの将来の光フィーダーリンク系に必要な技術を明確にします。

 

GOLEM実験システムの構成

GOLEM

実験内容
【高精度衛星追尾実験】
CRL光地上局(現:NICT光地上局)により低軌道衛星のμ-LabSatを高精度にプログラム追尾または光学追尾する。

【レーザ伝送実験】
CRL光地上局(現:NICT光地上局)から可視光のレーザを伝送し、μ-LabSat搭載のCMRにより受光。このとき、姿勢制御は3軸制御が望ましいが、スピン状態でも取得は可能である。光伝搬特性として評価できる項目は下記である。
最適なビーム広がり角での伝送実験:
光地上局はオープン制御で指向するため、指向誤差があり、狭ビームでは指向損失が生じるため、指向誤差を考慮したビーム広がり角を設定し、最適なビームパラメータを検討し伝送し、回線稼働率を解析する。

大気の時間積分特性取得実験 :

地上ー衛星間では大気ゆらぎの影響があるため、受光信号は数kHzの周波数で変動するが、CMRのような時間積分型の素子ではその効果は低減され、変動は小さくなる。CMRでは撮像画像をシャッタスピードを可変することができる機能があるため、このシンチレーションの低減効果を軌道上測定することができる。

大気ゆらぎ同定実験 :

ビーム広がり角を変化させ大気ゆらぎによるビーム広がり角を評価し、大気ゆらぎのモデル(Cn2など)による計算等と比較することで小金井における大気ゆらぎの大きさを見積もる。

大気ゆらぎの天頂角依存性取得:

μ-LabSatは太陽同期の低軌道衛星のため、衛星仰角が低いところから高いところまでレーザ光の受光データを取得することで、大気ゆらぎの天頂角依存性を取得する。

(応用実験)

CRL光地上局(現:NICT光地上局)から可視光のレーザを複数ビーム伝送し、μ-LabSat搭載のCMRにより受光する。1本のビームよりシンチレーションが低減されていることを実験で確認し、その低減度を解析することにより、光回線稼働率の改善を検証する。

【光地上局の捕捉追尾性能確認実験】

CRLの光地上局は、OICETS衛星との地上-低軌道衛星間において光通信実験を計画しているが、その基礎実験として上記1)と2)を実行することにより、現システムでその性能が維持されていることを確認する。

下記項目はOICETS実験のみならず、スマートサット実験においても反映される項目である。

・JAXA提供の軌道要素による低軌道衛星の追尾誤差の確認

・指向誤差を考慮した地上局レーザビーコン伝送パラメータの確認

・低軌道衛星への光回線稼働率の確認

・光地上局の追尾性能が維持されていることの確認

【光ビーム追尾実験】

受光されたレーザスポットを追尾するアルゴリズムを作成し、オンボードコンピュータのプログラムにより追尾する。μ-LabSatのような小型衛星で、姿勢誤差が数度ある環境でも可能かどうか、そのアルゴリズムと効果を軌道上実証する。

 また、姿勢制御系への姿勢角度へのフィードバックを行うことにより、衛星をターゲットに対して追尾する実験を可能であれば行う。

実験結果


軌道上における、軌道上のカメラによる捕捉追尾のアルゴリズムを検証することができた。
さらに、地上-低軌道衛星間の大気を介した光波伝搬特性が取得できるため、今後の光衛星通信分野へ基礎データとして寄与することができる。
CRLの光地上局においては、OICETS衛星との地上-衛星間光通信実験やスマートサット実験の事前確認実験として、その追尾指向性能を確認することができ非常に有意義である。

関連WEB

JAXA μ-LabSat(マイクロラブサット)1号機の研究

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