第7回IERS技術開発センター会議・議事録 作成者:近藤哲朗   (95/09/25) 場所:通信総合研究所4号館2F中会議室(鹿島宇宙通信センターとの間でTV会議) 日時:平成7年9月8日金曜日 午後1時〜午後5時半 出席者: 外部専門委員  日置幸介助教授   国立天文台  斉藤 隆室長    建設省国土地理院測地部測地技術開発室 金沢輝雄補佐官   海上保安庁水路部航法測地課  渋谷和雄教授    国立極地研究所南極圏環境モニタリング研究センター   (欠席)   河野宣之教授    国立天文台   川口則幸助教授   国立天文台   平林 久教授    宇宙科学研究所   岡田義光センター長 科学技術庁防災科学技術研究所   加藤照之助教授   東京大学地震研究所 内部  高橋冨士信、吉野泰造、濱真一、金子明弘、今江理人、国森裕生、三木千紘、 大坪俊通、野尻英行(以上標準計測部)  大森慎吾、高橋幸雄、岩田隆浩、栗原則幸、中島潤一、市川隆一、関戸衛、 近藤哲朗(以上鹿島宇宙通信センター)  鹿島宇宙通信センターからTV会議での出席者   高羽浩、小山泰弘、花土ゆう子、後藤忠広 合計 25名 開催準備: 9月上旬に第7回技術開発センター会議を開催するために、8月の第1週から日 程の調整を開始した。残念ながら全専門委員の方々の都合の良い日がなく、内部 の都合も考慮し、9月8日に会議を開催することに決定した。その段階では専門 委員の方々は6名出席可能であったが、直前に2名が出席不可能となり、最終的 に出席していただけたのは4名であった。今回、専門委員の方々の欠席が多かっ た点は、次回の開催日程の調整において、おおいに反省材料とすべき点である。 議事:    1.あいさつ(高橋冨士信:通信総合研究所標準計測部長)  会議開催のあいさつを行った。 2.IERS技術開発センターの活動方針について(近藤哲朗)  技術開発センターの経緯、現在の反省点、および今後の活動方針について、今後、 R&D実験の提案を積極的に受け付けていく旨の決意表明(資料参照)。 3.専門委員による各機関の活動報告  参加委員一人一人に各機関の現状を報告して頂いた。 日置専門委員 VERA計画の予算要求は今年度は出さない。再来年度の実行を目指して来年度 要求を出す。IRIS−P実験関連ではK−4をウルムチ、ウクライナに配備予 定。10月にウルムチ実験を行う。 斉藤専門委員 韓国に移動型VLBI(3.8m)を持って行き、10月から11月にかけて、 鹿嶋との間で観測を予定している。H7の補正で父島と九州に10m級の固定局 の配備を計画している。 金沢専門委員 水路部では来年度以降、可搬式SLRによる移動観測の第2ラウンドを計画して いる。 渋谷専門委員  南極VLBIは2次補正で大蔵に出ていった。感触は悪くない。 4.IRIS会議報告(吉野泰造) 7月10日米国ボルダーでのIUGG開催時に召集されたIRIS委員会につい て報告(資料参照)。 5.技術報告 5−1.首都圏広域地殻変動観測システム ・現状( 栗原則幸)  首都圏広域地殻変動観測システム(KSP)について資料をもとに、現在小金井、 鹿島、三浦VLBI局の整備がほぼ終了し、小金井−鹿島基線では連日観測を実施 している事、館山局の整備は今年度中に行う事等の現状を報告。 ・連日観測結果(高橋幸雄)  資料を元に、鹿島−小金井間の連日観測結果(1月から8月)を報告。 この報告の最後で、気象庁へ報告するデータの座標系について、各機関毎、別々の 座標系を使うのではなくて、統一すべきではなかろうか、という提案があった。 この件に関して、日置専門委員に統一案の検討を依頼し、次回の会議で報告してい ただくことになった。 ・リアルタイムシステム(今江理人)  資料に基づきNTTとの共同研究として進めているリアルタイムVLBI計画(各 観測局の観測データをテープに記録するのではなく高速デジタル回線で小金井に送 り、実時間で相関処理を行う)が説明された。 ・SLR現況(国森裕生)  資料に基づきKSP/SLR計画の現状に付いて今年度予算で整備する旨の説明が あった。 ・その他  通信総研が地震予知に踏み込むことに関して、各専門委員の方々がどう思われてい るか、率直な意見が聞きたい、との提案が高橋幸雄技開センター員(宇宙電波応用 研室長)からあった。この補足として大森技開副センター長(関東支所長)から、 医者と医療器具に例えて、通信総研はVLBIという医療器具を開発しているが、 地震予知という医者になれるのか(なってもいいのか)という問いかけがあった。 これに対する意見、コメントの主なものは以下の通り。  ・GPSでやれないことをやらないといけない。  ・早く結果を出す事が大事。 ・色々な機関が競いながらやるのはいい事だ。  ・地震予知と研究は大きく違う。  ・地震予知は業務として位置づけられる。それをどう研究と結び付けられるか。  ・GPSとの競合が問題。VLBIは空間的にGPSに負ける。リアルタイム   化が重要。  ・医者ではなく、医療ソシアルワーカーぐらいにはなれる。 また、データの公開に関して、  ・データの公開が重要。地震予知研究には大量のデータを大量の人が見る事の   できるシステム作りが必要。 というコメントがあったが、  ・データの公開に際してデマの発生に注意が必要。データの提供の仕方が問題   となる。うまい、仕組みが必要。 との問題点も提起された。次回の会議において、今回の議論を深める事にする。 5−2 IERSに向けたVLBIおよび関連技術開発 ・34mアンテナ現況(高羽 浩)  資料に基づき鹿島34mアンテナの現況について、現在保守中であること、老朽化 の兆候がみられる部品の更新を行っていること、強風時の自動停止など観測ソフト の改良を行っていること等の説明があった。 ・次世代VLBIシステム(中島潤一)  資料に基づきデジタルオシロをベースにした次世代VLBI用高速サンプラーなら びに高速データレコーダの開発について説明があった。 Q.サンプリングデータの連続性は大丈夫か? A.OK C.周波数分解能と時間分解能があがると素晴らしい。 ・パルサーVLBI(関戸 衛)  資料に沿って今年3月に鹿島−カルヤチン(ロシア)基線で行ったパルサーVLB I実験の結果について説明があった。。 Q.今の精度は? A.来年も観測して再現性を見る。 ・AAMによるUT1予測(吉野泰造(高橋幸雄代理報告))  資料を元に大気角運動量データを用いての高精度UT1予測の可能性について説明 があった。 ・大気伝播遅延補正(市川隆一)  資料に基づき、気象庁全球客観解析データを用いてのKSP/VLBIでの水蒸気 遅延補正について説明があった。 6.R&D実験の提案と議論 ・KSPでの水蒸気観測の可能性(市川隆一)  資料に基づき、KSP観測を利用したVLBI気象学(水蒸気観測)の提案があっ た。 ・KSP基線でのIPS観測の提案(近藤哲朗)  資料に基づき、KSP基線での惑星間シンチレーション(IPS)観測の提案があ った。 C.実際にモデル計算を行い、可観測性を示してほしい。 7.閉会のあいさつ(大森慎吾:関東支所長)  閉会のあいさつとともに、各専門委員の機関に出かけて行っての会議開催の提案が あった。この提案に付いては事務局で検討することにした。     会議終了後、会議参加者による懇親会が盛大に行われた。