第8回IERS技術開発センター会議・議事録 作成者:近藤哲朗   (96/03/18) 場所:通信総合研究所鹿島宇宙通信センターTV会議室(小金井本所との間でTV会議) 日時:平成8年3月8日金曜日 午後1時〜午後5時半 出席者: 外部専門委員  日置幸介助教授   国立天文台  斉藤 隆室長    建設省国土地理院測地部測地技術開発室 金沢輝雄補佐官   海上保安庁水路部航法測地課  渋谷和雄教授    国立極地研究所南極圏環境モニタリング研究センター  岡田義光センター長 科学技術庁防災科学技術研究所  加藤照之助教授   東京大学地震研究所   (欠席)   河野宣之教授    国立天文台   川口則幸助教授   国立天文台   平林 久教授    宇宙科学研究所 内部 高橋冨士信、吉野泰造、濱真一、瀬端好一、細川瑞彦、花土ゆう子、国森裕生 、雨谷純(以上標準計測部)大森慎吾、高橋幸雄、岩田隆浩、栗原則幸、市川 隆一、小山泰弘、関戸衛、後藤忠広、近藤哲朗(以上鹿島宇宙通信センター) 小金井本所からTV会議での出席者  今江理人、三木千紘、木内 等、野尻英行 合計27名 開催準備他: 前回(第7回技術開発センター会議)の会議では日程の調整がうまく行かず、 9名の専門委員の方々の内、4名しか出席していただけなかった。今回は、日 程の調整に重点をおき、1月早々に日程調査を実施し、その時点で全専門委員 の方々が出席可能であった3月8日に開催日を決定した。しかしながら、諸般 の事情でその後早い段階から出席が不可能となる専門委員の方々がいらっしゃ たが、最終的には6名の方々に出席していただけることができた。 また、今回の議事進行では試みとして座長方式を採用した。 議事:    1.あいさつ(高橋冨士信:通信総合研究所標準計測部長)  会議開催のあいさつを行った。 2.IERS再編の経緯報告(吉野泰造) IERS発足から現在に至るまでの経緯と、今年から再編されるのに伴い技術 開発センターが更改の時期になっているため、技術開発センター継続の意思表 示のため所長名の書簡を1月に送っている等、説明があった。 3.専門委員による各機関の活動報告(座長 近藤哲朗) 参加委員一人一人に各機関の現状を報告して頂いた。後で別途報告事項と重複 している専門委員の方々はここでは挨拶のみとして頂いた。 日置専門委員  データ公開の所で、VERA、IRIS−Pの現状について報告がなされた。 斉藤専門委員 データ公開の所で紹介されたGSIの報告は以下の通り。補正予算でVLBI 局(父島、南九州、つくば)の整備が行われる。NASAから提案のあったX バンドの広帯域化について検討中。測地2課でVLBI(事業)を行い、開発 室はVLBIに限らずGPS,SAR等の技術開発を行う。 金沢専門委員 水路部ではH8年度以降、離島の位置決めを目的とした可搬式SLRによる移 動観測を行う。8年度は父島、その後年1ヶ所ずつ、石垣島、南鳥島、稚内と 観測する。航海用として開発しているD−GPSは今年中に実用化。SLR関 係では12個を追跡中等の報告があった。 渋谷専門委員 南極VLBI関係は別途報告。昭和基地のGPS関係ではハードディスクトラ ブルのためIGSに貢献できていない。超電導重力計は順調に稼動している等 の報告があった。 岡田専門委員 補正予算で首都圏の深井戸観測システムの設置が順調に進んでいる。2000 m級は当初6ヶ所の予定が8ヶ所設置できる事になった等の報告があった。ま た、山梨県で3月7日に発生した地震に関して、震源域での上下、水平変動、 面積歪などの解析結果が示された。 加藤専門委員 資料を元に、GPS大学連合の平成7年度の活動(兵庫県南部地震などに伴う 緊急GPS観測、合同集中観測、西太平洋GPS連続観測網)が報告された。 また、IGSに関して、解析体制が問題となっていること、データ公開に関し てサービス料をとることが真剣に議論されているが、まだ決着していないこと などが紹介された。 4.南極VLBIおよびアジア太平洋VLBI(座長 高橋幸雄) アジアVLBI観測網の概要(高橋幸)、南極VLBI計画の現状(渋谷委員 )、日中VLBI実験(岩田)の各話題について報告がなされた。特に南極V LBIについて大蔵予算が認められたこと、また事業なので動き出すまでが大 変だが動き出せば後は比較的に順調にいくというメリットもあること、また昭 和基地で飛行機による輸送については基地の規模から近い将来を含めて不可能 と考えなくてはいけないことが紹介された。南極VLBIの頻度については4 回/年が妥当ではないかとの見方が示された。(なお、渋谷委員より通総研I ERS技術開発センター長宛、南極VLBI予算獲得に向けての技術開発セン ターからの支援に対しての感謝書状が届いています[事務局])日中実験に関 して水沢グループの行った対ウルムチ実験はうまく行かなかった旨のコメント があった。 5.座標系およびデータ公開フォーマットの統一(座長日置幸介) KSPのデータ公開の現状(小山)と国土地理院におけるデータ公開の現状( 斉藤委員)が説明された。KSPデータ公開は今の所、一般研究者向けと気象 庁に提供するデータの区別は行っていない。WWWおよびanonymous FTPで解析結 果をさまざまな形で提供している。国土地理院におけるデータ公開はすべて測 量法に基づくために一般的にすると手数料が必要になるが、研究者へのデータ 提供は個別の依頼により提供している。またGPSデータに関してはanonymous FTPだとデータ量が多く時間がかかるためDATで郵送の方が現実的である。地 震関連データは予知連開催の後の提供となるが大事な物はその前でも提供。議 論の中で、提供するデータを第三者が利用する場合を想定して、利用方法を明 記する必要性が認識された。日置専門委員より、外部の研究者が必要とするデ ータを4つのレベルにわけ、それぞれについて望まれるデータ提供形態が提案 された。KSPのデータ提供では、それぞれのレベルで必要なデータが提供さ れているとの評価であった。データ提供のフォーマットとしては、GPSとV LBIで共通に使用できるSINEXフォーマットが紹介され、KSPのデー タ提供でもSINEXを取り入れることが推奨された。     6.技術報告 6−1.首都圏広域地殻変動観測システム(座長 栗原則幸) 首都圏広域地殻変動観測システム(KSP)について、現状(栗原)、相関処 理システム(木内)、解析システム(小山)、リアルタイムVLBI(今江) 、SLRシステムの現状(国森)の報告があった。主な報告事項は以下の通り 。解析に関して地球回転パラメータの速報値を使う限り1cm程度の系統誤差 が含まれる可能性があるが、実験後3日位で実用に耐える結果が得られる。リ アルタイムVLBIに関して今年中に実現予定。SLRに関してシステム整備 が順調に進められている。 6−2 IERSに向けたVLBIおよび関連技術開発(座長 今江理人) ・34mアンテナ現況(岩田)  鹿島34mアンテナの現況報告。 ・パルサーVLBI(関戸) 資料に沿って昨年3月に実施した日露パルサーVLBI実験の結果について説 明があった。さらに今年の実験、今後の計画についても説明された。 ・惑星電波(近藤)  木星電波観測について2GHz帯およびデカメータ波帯での計画が紹介された。 ・宇宙飛翔体および測月、測惑におけるVLBI関連技術開発動向(細川)  月および惑星(火星)に電波源を設置し、測月、測惑を行う計画が紹介された。 7.閉会のあいさつ(大森慎吾:関東支所長)  閉会のあいさつ。 会議終了後、鹿島宇宙通信センターでの会議参加者による懇親会が盛大に行われた。