ワイワイ

無線双方向時刻比較技術

 本プロジェクトでは現在広く利用されている無線通信技術に高精度時刻同期(ピコ秒)の仕組みを追加実装し、時刻同期基盤を開発することを目指しています。

 平成 28 年現在「モノのインターネット(IoT)」というヴィジョンが広く認知され、今後1兆個におよぶ通信機とセンサーが無線で繋がる社会へと進むことが予想されています。


モノのインターネット(IoT)の概念図 *1

 このような時代背景にあって、「モノが無線でつながる際に通信のついでに高精度な時刻同期ができる仕組みがあったら色んな夢が拡がるなー」という思いから私達の研究はスタートしました。 皆さんがあまり意識することは無いかもしれませんが、今の情報通信技術は「みんなの時計が合っていない」ことを前提に設計されています。 その理由は「今まできちんと時計合わせをするのが大変だった」からであろうと推測します。 時計合わせを手軽に行うことを可能にする技術として私たちは無線双方向時刻比較技術、通称ワイワイを開発しています。 この技術は我々のグループが 15 年近く第一線で研究を進める衛星双方向時刻比較技術 *2 を簡略化したもので、衛星を用いる代わりに通信無線を利用し、とにかく簡便に、安く、エコに高精度な時刻同期を通信電波が届く範囲内で行うというものです。

 集積回路の進歩と水晶発振器の進歩により、現在ではワイワイでピコ秒(ピコは1の 12 乗分の1!)レベルの時刻同期を行うモジュールをおどろくほど安く(1万円程度)製作することが可能になっています。 これまで通信機器の時刻が合わない前提で通信の大容量化が進められてきましたが、今後は時刻同期がさらなる通信インフラ改善の鍵となると期待しています。

 またさらに、精密な時刻同期は通信インフラの向上に資するだけではなく、位置計測においても重要な役割を担います。 位置計測の精度は基準局間(GPS で言えば GPS 衛星)の時計をどれだけの精度で同期できるかによって決まります。 私たちは GPS が使えないような環境でも利用できる精密位置計測システムを構築していくことも視野に入れて研究を進めています。


*1; By Wilgengebroed on Flickr [CC BY 2.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons