last update: 2010-10-5
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NICT ユニバーサルメディア研究センター

超臨場感システムグループ | gCubik

みんなで見られるキューブ型立体ディスプレイ


映像を手に持って楽しもう! * Grasp Virtual Objects!

より自然な人と人とのコミュニケーションをサポートするためのツールとして,五感に根ざした情報提示デバイスがあるといいと思いませんか? 例えば,友達を集めて会話したり,何人かで会議机を囲んで一緒に仕事をするような場面を考えた場合,コンピュータのファイルやデジタルカメラの写真のような情報を,直接手で取り出したり,手渡しするかのようにして他の人に伝えることができれば,より気軽にデジタルな情報にアクセスでき,一緒に情報を共有することで会話が弾むかもしれません.

"gCubik"の開発コンセプトは,特殊な眼鏡などを身につけることなく(Glasses-free),大勢の人が同時かつ自然に立体映像を共有でき(Group-sharing),直接つかみ取って(Graspable)様々な方向からガラスケース(Glazed-showcase)に入った立体映像を観察するかのようなコミュニケーションツールを目指すことから生まれました.

みんなで立体映像を共有しよう * Group-sharing of 3D Image

gCubikでは,LCDと小さなレンズが幾つも組み合わさったハエの眼状のレンズアレイを組とした裸眼立体視ディスプレイを箱形に組み上げ,あらゆる方向から見ても常に箱の中に物体が存在しているかのように見える光の状態を再現しています.gCubikのそれぞれの面を観察しながら頭を動かすと,面を見る角度によって次々と見える映像が変わっていくことがわかります.箱の面を仮想的な窓に見立てると,その窓を通して見えるはずの景色は,目の位置と箱の面の位置に応じて違った見え方をします.LCDには,このような様々な方向から見えるはずの絵をあらかじめ全て表示してあり,その上にかぶせたレンズアレイの効果によって,ある方向から面を観察した場合は,その方向に応じた絵が見えるような仕組みになっています.

gCubikで使われている裸眼立体視の原理(インテグラルフォトグラフィと呼ばれる)は100年前にフランスの科学者が発明したもので,これまでは立体テレビのような用途で研究が進められてきました.しかし,テレビでは前面からだけの観察を考えればよかったのですが,箱形に組み上げた場合には様々な角度からディスプレイが観察されるため,単純にこれまでの技術を使うだけではgCubikのコンセプトのような立体ディスプレイを実現することはできませんでした.そこで,gCubikの観察条件を検討した上で,これまでにない広い視野角を持つレンズアレイを提案することでこの問題を克服し,箱の中に立体映像が浮かび上がるという新しい立体ディスプレイを実現しました.

gCubik+i * An interactive 3D image media platform

今のgCubikは,まだまだ生まれて間もない試作機です.近い将来この技術が発展し,4cm角くらいのクリスタルキューブのような立体映像を表示可能なコミュニケーションツールができたら何ができるかを,今考えるためのモックアップです.その例として,インタラクティブな機能をさらに追加したgCubik+i(ジーキュービックプラスアイ)と名付けたプラットフォームを新しく提案しています.

gCubik+iでは,テーブルに並べられた平面の映像メディアを,立体映像メディアとして取り出し,様々な角度から観察してみんなで共有する体験が可能となりました.下の資料にある写真は「手のひらのバーチャル3Dアクアリウム」というコンセプトで開発されたコンテンツで,水の中の生き物をすくい上げてgCubikの中で動き回る様子が観察できます.

このプラットフォームを用いることにより,ネットショップのアイテムをgCubikにダウンロードして,家族みんなで様々な角度からチェックするといったことも可能になるでしょう.

資料 * Materials

gCubik+i

gCubik gCubik
テーブルとのインタラクションが可能で,机にある2次元の映像を「すくい上げて」,手元で立体的な映像として観察することができます.

(参考)サイエンスニュースオンデマンド@科学技術振興機構による紹介ビデオ
3Dメガネいらず 立体映像システム 開発に成功 (gCubik+i video by JST)

gCubik ver2.0 (6-face type)

gCubik gCubik gCubik
2回目の試作機です.6面すべてに立体映像が表示されていて,どの方向からでも,何人でも同時に,箱の中に立体映像が閉じ込められているかのように観察できます.2009年早春に完成しました.最初の試作機に比べ,明るさが3倍,解像度が1.4倍になってより鮮明に立体映像が見えるようになりました.

gCubik
gCubik ver 2.0 demonstration movie

gCubik ver1.0 (3-face type)

gCubik gCubik gCubik gCubik
最初の試作機です.3面での実装がされています.2008年早春に完成しました.

Stereo Left Stereo Right
アヒルの立体映像をある面から見た例 * 交差法にてステレオ立体視できます(Ver.1での映像).

発表文献 * Papers

  1. 複数人で観察可能な箱形立体ディスプレイの検討
    A Study of a Box-shaped 3D Display for Multi-user Environments
    吉田俊介, Roberto Lopez-Gulliver, 井ノ上直己
    日本バーチャルリアリティ学会第12回大会論文集, 2C2-4, 2007.9
    [PDF 132 KB]
  2. 広視野角なレンズアレイの提案による箱形立体ディスプレイの検討(ベストインタラクティブ発表賞受賞)
    Towards Wide Field of View Lens Array for a Box-shaped 3D Display (Best Interactive Presentation Award)
    Roberto Lopez-Gulliver, 吉田俊介, 矢野澄男, 井ノ上直己
    インタラクション2008, 情報処理学会, IPSJ Symposium Series Vol.2008, No.4, pp.187-188, 2008.3
    [PDF 186 KB]
  3. Towards an Interactive Box-shaped 3D Display: Study of the Requirements for Wide Field of View
    Roberto Lopez-Gulliver, Shunsuke Yoshida, Sumio Yano, Naomi Inoue
    IEEE Symposium on 3D User Interfaces 2008, pp. 157-158, 2008.3
    [PDF 180 KB]
  4. A Study to Realize a Box-shaped 3D Display: A Calibration Method to Align Lens Array and Display
    Shunsuke Yoshida, Roberto Lopez-Gulliver, Sumio Yano, Naomi Inoue
    3DTV-CON'08, pp. 169-172, Istanbul, Turkey, 2008.5.28-30
    [PDF 190 KB]
  5. 複数人で観察可能な箱形立体ディスプレイgCubik - 3面での初期実装検討 -
    gCubik: A Cubic 3D Display for Multiuser Environments - An Early Study Using a 3-Face Prototype -
    吉田俊介, Roberto Lopez-Gulliver, 矢野澄男, 井ノ上直己
    3次元画像コンファレンス2008, pp.129-132, 東京大学, 2008.7.10-11
    [Poster, PDF 351 KB]
  6. gCubik : A Cubic Autostereoscopic Display for Multiuser Interaction - Grasp and Group-Share Virtual Images -
    Roberto Lopez-Gulliver, Shunsuke Yoshida, Sumio Yano, Naomi Inoue
    ACM SIGGRAPH 2008 Poster #B175, Los Angeles USA, 2008.8.11-15
    [Poster, PDF 279 KB]
  7. gCubik: 手に持ち複数人で鑑賞できるキューブ型立体ディスプレイの開発
    gCubik: A Graspable Cubic 3D Display for Multiuser Environments
    吉田俊介, Roberto Lopez-Gulliver, 矢野澄男, 井ノ上直己
    3次元映像のフォーラム, 第85回研究会, 東京大学, 2008.9.15
  8. gCubik: 複数人で観察可能なキューブ型裸眼立体ディスプレイ - 6面での実装とその対話操作に関する考察
    gCubik: A Cubic Autostereoscopic Display for Multiuser Environments - A 6-face Cube Prototyping and Interaction Considerations
    吉田俊介, Roberto Lopez-Gulliver, 矢野澄男, 井ノ上直己
    インタラクション2009, 情報処理学会, IPSJ Symposium Series Vol.2009, No.4, pp.1-8, 学術総合センター, 2009.3.5-6.
    [PDF 1.1 MB]
  9. Towards Real time Interaction with an Auto-stereoscopic Display - gCubik -
    Roberto Lopez-Gulliver, Shunsuke Yoshida, Sumio Yano, Naomi Inoue
    3D Systems and Applications, Wed-P2-06, Taipei, Taiwan, April 27-30 2009
  10. OpenGLを用いたインテグラルイメージング要素画像の実時間生成~6面版gCubik によるインタラクティブ操作の実現~
    OpenGL-based real time rendering of elemental integral images: Implementing interactivity for the 6-face gCubik
    Roberto Lopez-Gulliver, 吉田俊介, 矢野澄男, 井ノ上直己
    3次元画像コンファレンス2009, P-15, pp.141-144, 東京大学, 2009.7.8-9.
  11. gCubik : Real-time Integral Image Rendering for a Cubic 3D Display
    Roberto Lopez-Gulliver, Shunsuke Yoshida, Sumio Yano, Naomi Inoue
    ACM SIGGRAPH 2009 Emerging Technologies, New Orleans, USA, August 3-7 2009 (Accepted)
  12. gCubik: 手に取り複数人で観察可能なキューブ型裸眼立体ディスプレイの実装手法
    gCubik: Implementation of Graspable Cubik Auto-stereoscopic Display for Multi-user Environments
    吉田俊介, Roberto Lopez-Gulliver, 矢野澄男, 安藤広志, 井ノ上直己
    映像情報メディア学会論文誌, Vol. 64, No. 4, pp. 570-576, April 2010.
  13. gCubik+i Virtual 3D Aquarium: Interfacing a graspable 3D display with a tabletop display
    Roberto Lopez-Gulliver, Shunsuke Yoshida, Mao Makino, Sumio Yano, Hiroshi Ando
    Conf. of the European Asociation of Computer Graphics (Eurographics 2010), Norrkoping Sweden, May 3-7 2010.
  14. gCubik+iによるバーチャル3Dアクアリウム: 手に持てる3Dディスプレイとテーブルトップディスプレイとが連携した自然なインタフェース
    gCubik+i Virtual 3D Aquarium: Natural Interface Between A Graspable 3D Display And A Tabletop Display
    Roberto Lopez-Gulliver, 吉田俊介, 牧野真緒, 矢野澄男, 安藤広志
    日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol. 15, No. 2, pp.147-156, 2010.6.30.

過去のデモ * Past Demos

メンバー * Members