◆講演内容:
林 秀樹 氏 (住友電気工業(株)フェロー) 「化合物半導体 ---限りなき可能性を求めて---」
20世紀後半以降の革命的なエレクトロニクスの進歩は私たちの社会を大きく変え てきましたが、この主役は何と言っても集積回路(IC)で、その材料はシリコン
(Si)半導体です。このSi半導体はSiという一種類の元素からできている半導体 ですが、2種類以上の元素から構成される化合物半導体は、その元素の組み合わ
せによって実に多くの種類の半導体が形成でき、Si半導体では得られない特長を 持った多くの半導体デバイスが実現できます。その一つは発光デバイスであり、
用いる化合物半導体の種類によっていろんな色(波長)の発光デバイスができま す。皆さんがお使いになっているCDやDVDプレーヤに用いられている赤外、赤
色、青紫色のレーザや、携帯電話のバックライトやLEDランプの白色LED、光ファ イバ通信に用いられている赤外の半導体レーザなどがあります。またトランジス
タなどの電子デバイスでも携帯電話などに多くの化合物半導体デバイスが用いら れています。さらに今後ますます市場が拡がると予想されるパワーエレクトロニ
クス分野で活躍するパワーデバイスにも低損失、高耐圧、高速動作、高温動作が 可能になることにより、化合物半導体が期待されています。本講演では、これら
化合物半導体デバイスについて、ここ四半世紀の開発の歴史をとおして述べたい と思います。
◆講演者略歴:
林 秀樹 氏 (住友電気工業(株) フェロー, 情報通信・システム事業本部 技師長, IEEE フェロー)
1973年 京都大学工学部電子工学科卒業
1975・78年 東京大学大学院工学系研究科電子工学専門課程 修士・博士課程修了 工学博士
1978年 住友電気工業株式会社に入社、以後化合物半導体デバイスの 研究開発・事業化に従事 オプトエレクトロニクス研究所長、デバイス技術センター長、 半導体技術研究所長、パワーデバイス開発室長などを経て、 現在 同社フェロー、
情報通信・システム事業本部 技師長。 IEEEフェロー、応用物理学会フェロー、電子情報通信学会 評議員 輻射科学研究会 評議員、日本工学アカデミー会員