第013回KARCコロキウムのご案内

第013回KARCコロキウムは終了しました。ご参加ありがとうございました。


開催日時 3月26日(火) 14:00-16:00
開催場所 第1研究棟 小会議室
講演(1) 「周波数標識された複合感覚誘発脳磁界の分離・抽出と非定常解析」
講演者 小林哲生 氏(北海道大学 電子科学研究所 助教授)
講演概要 脳の高次機能のなかでも意識、あるいはその一階層であるアウェアネスといった機能に関わる脳内プロセスはシステムとしてのダイナミクスの解明により真の理解が得られると考えられる。現在利用できる脳機能の非侵襲的計測法のうち脳波と共に脳磁界(MEG)は時間分解能が高く、このダイナミクスを調べるのに適した手法である。今回、複数の感覚刺激に対する誘発応答の時間的遷移を捉えることを目的としてMEGにより行っている研究についてお話しさせていただく。実験では視覚、聴覚、体性感覚という複数の感覚モダリティーによる刺激を異なる周波数で標識して同時呈示し、各刺激による定常誘発応答の重畳された脳磁界を68チャネルの全頭型MEGシステム(CTFSystemsInc.)により計測した。ここで定常誘発応答とは過渡的誘発応答と区別するための呼び名であり、定常応答を得るには刺激呈示間隔を短くかつ一定に与える。計測されたデータのスペクトルを解析を行い、標識した周波数におけるの空間パターンを観測した結果、同時呈示した複数感覚モダリティーに対応する皮質神経活動が捉えられていることが確認できた。従来、過渡的誘発応答と同様、定常誘発応答も繰り返し試行で得られる原データを加算平均することにより得ていた。しかし加算平均過程において時々刻々変化する脳内プロセスのダイナミクスは消失してしまう。本研究では加算平均せずに単一試行の原データから定常誘発応答を分離・抽出するため、狭帯域通過フィルタと主成分分析とを組み合わせ、さらに原データを固有ベクトル空間へ投射することによって復元される時間情報を非定常解析して、異なる感覚刺激に対する誘発応答の時間的な遷移を捉えることができた。
講演(2) 「MEG計測に最適な検出コイルは何か? -平面型グラジオメータとマグネトメータとの比較-」
講演者 竹内文也 氏(北海道大学 電子科学研究所 助手)
講演概要 MEG計測では検出コイルとしてグラジオメータ(GM)あるいはマグネトメータ(MM)が使われ、脳深部にある信号源の検出にはMMがGMよりも有利であると言われてきた。しかし、実際に計測されたMEG信号を元に比較された例はほとんど無い。一方、Neuromag社(現、4D-NeuroImage社)のVectorViewは、頭部を覆う102カ所の位置に2個の平面型GMと1個のMMを備えた306チャネルの全頭型SQUIDシステムであり、GMとMMの性能を比較する上で都合の良いシステムである。そこで、VectorViewで計測した自発脳磁界をノイズとし、単一電流双極子が作る磁界を信号として重ね合わせて模擬MEG信号を作成し、GMのみを用いた単一電流双極子推定とMMのみを用いた双極子推定の精度の比較を行った。その結果、脳深部に電流双極子を仮定した場合においても、MMがGMよりも有利であるという結果は得られなかった。この原因として、ノイズ低減に用いたSSP(SignelSource Projection)を考えている。
使用言語 日本語
参加費 無料
担当者 脳機能グループ 藤巻