第045回KARCコロキウム開催報告
粘菌発現系を用いて、タンパク質モータ・ミオシンの改変を行なった。 ミオシンのスーパーファミリーには18種類のミオシンが見つかっている。ミオシンはアクチンに結合してATPを 加水分解するモータ領域とモータ領域の構造変化を大きく増幅してアクチンの滑り運動を作り出すレバー領域 とからなる。脊椎動物の筋肉などで活躍するミオシンIIや細胞内の物質輸送に関わるミオシンIという種類の ミオシンは、アクチンの+端方向に運動することが知られている。粘菌発現系を利用して、このモーター領域に、 人工的に方向を変えるための部品を融合し、その先にレバー領域を接続した人工ミオシンを発現させた。 このミオシンは、従来の+方向の運動を起こすことなく、まったく逆のー端方向への運動を生じた。 人工的に設計したタンパク質モータの実現への大きな一歩であり、この成果はNatureに掲載された。
参加人数:17名 (内部17名 外部0名)