第107回KARCコロキウム開催報告
有機分子によってデバイスを構築する上で、分子間相互作用の制御は、目的とするデバイスの物性発現や性能向上に重要である。有機材料では、化学合成などによる「分子デザイン」によって分子間相互作用が制御可能であり、これらの材料を利用するメリットの1つであると言える。本コロキウムでは、熊本大学大学院自然科学研究科の松田真生准教授にその一例をご紹介戴いた。
講演では、有機導電体(分子性導電体)を基に、局在スピン導入のコンセプトとその概要が紹介された。中でもジシアノ鉄(III)フタロシアニン系材料を用いた材料開発では、分子デザインによって局在スピン同士の直接的な相互作用が抑制される一方、伝導電子を介した相互作用が存在し、その結果、巨大負磁気抵抗効果が発現していることが紹介された。また、最近の研究として、金属錯体を利用した光応答性材料の開発なども紹介された。有機分子ならではの機能とそれを利用した物性制御へのインスピレーションを受ける講演となり、活発に議論が行われた。
参加人数9名 (内部 9名、外部 0名)