第131回KARCコロキウムのご案内


第131回KARCコロキウムは終了しました。ご参加ありがとうございました。

開催日時 平成30年10月4日(木) 13:30 〜 15:00
開催場所 未来ICT研究所 第一研究棟 2F 大会議室
講演 ショウジョウバエを用いた睡眠研究〜睡眠誘発遺伝子”nemuri”の発見〜
講演者 ペンシルベニア大学 ハワード・ヒューズ医学研究所 リサーチスペシャリスト
戸田 浩史 氏
講演概要 この世に存在する全ての動物は、哺乳動物から昆虫に至るまで、眠ると考えられています。なぜ、眠くなるのでしょう?われわれは経験上、睡眠中は、一つも能動的な活動ができないことを知っています。そればかりか、野生動物に関していえば、寝ている間は、生命の危険に曝されることもあります。にも関わらず、まったく寝ない動物というのは、現在のところ、地球上で見つかっていません。 現在の段階で、科学的に、なぜ寝るのか?という問いには、はっきりと答えられません。せいぜい、睡眠がどのような機構で起きているのか?という問いに関し、ほんの一部のみ語ることができる、というのが現状です。 私たちは、更なる睡眠機構の謎に迫るため、ショウジョウバエをモデル生物に研究を行ってきました。ショウジョウバエは、1)比較的単純な神経系であること、2) 100年を超える遺伝学の蓄積があること、3)睡眠を調節する分子機構が哺乳類などの種を越えて保存されている、などの点から、睡眠を研究するモデル生物として非常に適しています。 睡眠は、睡眠を誘発するネットワークと覚醒を促すネットワークの双方向のバランスによって、調節されていると考えられます。過去のショウジョウバエを用いた変異体の探索によって、覚醒を促す遺伝子やその神経細胞が解明されてきました。しかしながら、睡眠を誘発する役割を果たす遺伝子の同定はもちろんこと、そもそも、そのような遺伝子が存在するかどうかすら、わかっていませんでした。 その問いに迫るため、私たちのグループは、大々的なゲノム規模の遺伝学的探索を行いました。その結果、睡眠を誘発する新規の遺伝子を同定することに成功し、その遺伝子を「nemuri」と名付けました。本セミナーでは、新規遺伝子nemuriの睡眠における役割をご紹介することで、聴衆の皆様の睡眠に対する理解が深まる一助になれば嬉しく思います.
使用言語 日本語
参加費 無料
担当者 情報通信研究機構 未来ICT研究所
フロンティア創造総合研究室行動神経生物学プロジェクト研究員 原 佑介