第137回KARCコロキウムのご案内


開催日時 令和元年9月9日(月) 13:30 〜
開催場所 未来ICT研究所 第1研究棟 2F 小会議室
講演 哺乳類神経シナプス前終末の生理学
講演者 同志社大学   教授   坂場 武史
講演概要 シナプス前終末からの伝達物質放出機構に関して、神経筋標本からの知見をもとにKatzらが量子仮説を提唱している。この仮説では、伝達物質放出は離散的な性質を持っていること(これは伝達物質1個1個が放出されるのではなく、シナプス小胞から伝達物質がまとめて放出されるためだと現在は考えられている)、シナプス応答は伝達物質放出部位数N、放出確率Pr、1量子に対するシナプス応答qの積で決定されると考えられている。単純な量子仮説が哺乳類中枢神経系シナプスでも妥当であるか、特に中枢シナプスに特徴的である機能的多様性がどのパラメータによって決定されているか(どのようなメカニズムによって媒介されているのか)の2点に関して1990年代から研究が続けられてきた。技術的な観点からは、スライスパッチクランプ法によってシナプス前終末からの直接記録が可能になったこと、最近のイメージング技術の進歩によって定量的な機能解析がより容易になりつつある。ここでは、このようなシナプス前終末の生理学な研究の概説と、げっ歯類聴覚神経系calyx of Heldシナプスと海馬苔状線維シナプスを比較して伝達物質放出機構の共通性、違いを調べた研究について紹介する。
使用言語 日本語
参加費 無料
担当者 情報通信研究機構 未来ICT研究所
フロンティア創造総合研究室 記憶神経生物学プロジェクト 総括研究員 吉原 基二郎