研究概要

私たちの研究室では、細胞の情報処理と通信能力を利用した新たなICTパラダイムの創出を目指しています。

細胞を観察する:バイオイメージング技術の開発

 細胞内の情報の流れを計測するために、生きた細胞で目的の分子の挙動を高精細に画像化できる蛍光顕微鏡技術の開発を行っています。生体毒性を抑えたライブイメージング法や、超解像顕微鏡に関する技術等の研究開発を行い、一部のツールを世界に向けて公開しています。また、顕微鏡の講習会を通して知識を広めています。蛍光イメージング技術は、細胞の情報処理能力を利活用する上で不可欠の基盤技術となっています。

松田厚志 (2020) 「生物の知を光と計算で読み解くー分解能の限界を超える顕微鏡技術」 情報通信研究機構研究報告 Vol.66 (1)

SM

Asakawa H, et al., (2019) PLoS Genetics 15:e1008061. (生細胞内での高精度距離計測技術)
Matsuda et al., (2018) Sci Rep 8:7583. プレスリリース「超解像顕微鏡のための高精度色収差補正ソフトウェアを開発・無償公開」
Demmerle J, et al., (2017) Nature Protocols 12: 988-1010.(超解像顕微鏡のアーティファクト低減法)
Matsuda A, et al., (2015) Nature Commun. 6:7753.(生細胞を用いた超解像顕微鏡法)

細胞を操作する:細胞機能の人工的構築と制御

 細胞の情報処理と通信能力を人為的に操作するための基盤技術として、細胞内に生体−非生体ハイブリッド素子(人工ビーズ)を導入する技術や、それを使って細胞内に人工オルガネラを構築する技術等に関する研究開発を進めています。また、細胞機能の一部を試験管内で再構成し、細胞が行う分子通信を人為的に制御する技術の研究開発にも取り組んでいます。

小林昇平 (2020) 「生体ー非生体ハイブリッド素子を用いた細胞活動の理解と人為制御」情報通信研究機構研究報告 Vol.66 (1)

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(movie)

Bilir, et al. (2019) Genes to cells 24, 338-353.
(生細胞内に導入した人工ビーズの周囲における核膜様構造の形成)
Kobayashi, et al. (2015) Proc. Natl Acad. Sci. 112, 7027-7032.
プレスリリース「外から来たDNAの細胞内侵入を感知するDNAセンサーを発見」
Kobayashi, et al. (2010) Autophagy 6, 36-45.
(生細胞内に導入した人工ビーズの周囲におけるオートファジーの誘導)

細胞を模倣する:細胞情報システムの解明と応用

 細胞の遺伝情報システムは、35億年の進化によって錬成された自然知の集積です。環境変化に応答する遺伝情報システムの作動原理や分子機構を明らかにし、細胞の自然知に倣った新たなICTの創出を目指しています。