光エレクトロニクス材料としてのデンドリマー

横山士吉


  1980年代後半、高分子科学分野で段階的成長反応の結果、デンドリマーと呼ばれる樹状分子が開発された。固有の物理化学特性のため幅広い分野へ浸透し現在に至るまで急速な発展が進み、化学・バイオ・医薬などへ新展開がなされている。一方、有横化合物の光エレクトロニクス分野への展開として、電子共役系色素は、その電子構造がちょうど光のエネルギーに対応していることから長年にわたり多くの研究や新色の開発がなされている。
デンドリマーの分野においても、合成上の応用として色素を骨格に取り込んだ研究が年々増えてきている。しかしながら、デンドリマーは依然として合成化学者の産物であり、光学材料としての展開は少ないのが現状と思われる。ここでは、デンドリマー自体の調整にかかる合成的バリアをなるべく低くすること、デンドリマーの分子形状を活用することで特有の光学材料としていかに利用できるかを示し、光エレクトロニクス分野への展望について述べる。