キラルフォトニックバンドギャップ液晶を用いたレーザー発振の電場応答

古海誓一・横山士吉・大友 明・益子信郎


 要 旨 コレステリック液晶をラビング処理した基板の間に挟むと,基板に対して垂直に配向した超分 子らせん構造を示し,一次元フォトニック結晶と見なすことができる.本研究では,コレステリック液晶 に蛍光性色素を添加し,パルスレーザー光照射による発光挙動について検討した.グランジェン配向した 液晶セルを直線偏光のパルスレーザーで光励起すると,比較的低しきい値の光励起エネルギーで円偏光レ ーザー発光に変化した.発光波長はコレステリック液晶の反射バンド端に一致しており,そのスペクトル 線幅は0.8nmであった.その円偏光発光のらせん方向は,ネマチック液晶に添加したわずか2mol%のキ ラル剤の光学活性部位に依存していた.さらに,光励起しながらコレステリック液晶セルに交流電場を印 加すると,コレステリック液晶の超分子らせん構造の変化に伴ったレーザー発振の可逆制御に成功した.