赤外線レーザーを用いた遠隔計測技術

風と水蒸気の分布や変化をリアルタイムに可視化できます

NICT NEWS

2022 No.2
レーザー光で風と水蒸気を測るマルチパラメーターライダーの開発

特願

2021-025706

実証実験中

研究者より

屋外で長期間安定して稼働する気象観測装置の開発・製造実績のある企業との連携を希望いたします。

電磁波研究所 電磁波伝搬研究センター リモートセンシング研究室

概要

甚大な災害を引き起こすゲリラ豪雨などの大気現象の信頼性の高い事前予測には大気中の正確な水蒸気の量とその流れの観測データが必要です。その課題を解決するため大気中の風と水蒸気を計測することができる差分吸収ライダー(図1)の開発を進めています。

独自の2µm帯赤外線レーザ光の波長制御技術を用いたプロトタイプの差分吸収ライダーによる水蒸気量観測を実施し、その観測性能はラジオゾンデと同等であることを示しました(図2)。

現在、図3に示す差分吸収ライダーの各構成要素の安定化と低価格化のための開発を進めています。シンプルな設計でありながら、高精度に波長を制御できるシードレーザを試作し、動作試験を実施中です(図3(a))。パルスレーザは、入手性の高いツリウムファイバーレーザを励起光源とした常温動作型の高出力パルスレーザを採用し(図3(b))、従来の10倍以上の出力が得られることを確認しました。


図1

提供内容・活用

2µm帯のシードレーザ、パルスレーザや波長制御技術など、独自の光学系の技術を提供可能です。差分吸収ライダーで風と水蒸気の空間分布と時間変動を観測することにより、豪雨の予測精度向上に大きく貢献できます。差分吸収ライダーの社会実装に向けて、企業との共同研究や技術移転などの連携を希望します。

図1

関連情報

文献:Makoto Aoki and Hironori Iwai, "Dual-wavelength locking technique for coherent 2-µm differential absorption lidar applications," Appl. Opt. 60, 4259-4265 (2021).

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