多数同時通信可能なパルス変調に基づいた大規模無線通信

低コスト、低干渉、低消費電力な通信技術

NICTお知らせ

2023.05.23.

1000台のIoT端末を用いた超高密度な屋外無線通信実験に成功

特願

2018-134365 , 2023-013137
US 11,405,072 B2

基礎実証済

研究者より

私たちは今後の実用化、事業化に向けて、企業の方々と共同で以下のような開発を行っていきたいと思っています。
・本技術の商品化に向けた応用開発
・既存のLPWAに代わる新しい標準の開発とチップへの実装

未来ICT研究所 脳情報通信融合研究センター(CiNet)
脳情報工学研究室 Kenji Leibnitz
連絡先 CiNet外部連携企画グループ cinet-renkei@ml.nict.go.jp

概要

世界中に数百億台のIoTデバイスが普及するIoT(Internet of Things)社会の本格的な到来に向け、低消費電力、広域サービス、低コストを可能にするLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークが期待されています。

その実現、実用化を目指して、私たちは東京理科大学及び大阪大学と共同で、疎ら(スパース)なパルス信号の間隔によって情報を表現する脳の神経細胞の動作原理に基づく無線通信方式(APCMA:Asynchronous Pulse Code Multiple Access)のシステムを開発しました。

私たちが開発した技術は、高い拡張性(デバイス数万台超)があり、長距離送信が可能な低価格・低消費電力ネットワークを提供します。ARIB ST-T108標準規格ではデューティ比が0.1%以下であることとされており、メッセージを数秒ごとに送信する場合、従来の技術ではこれを達成することは非常に困難です。本技術は効率的なアルゴリズムにより低デューティ比を実現し、エラー率と干渉を低く抑えることで、多くのIoTデバイスによる同時送信を可能にします。

既に、315MHz帯で動作するデバイス100台及び920MHz帯でチャープスペクトル拡散(Chirp Spread Spectrum)を用いるデバイス500台のプロトタイプを開発し、実証実験を実施しています。


図1

提供内容・活用

本技術は、低メンテナンス、低運用コスト、低消費電力で多数のデバイスを収容するLPWAネットワークの構築に特に役立ちます。一般的なLPWAネットワークにおいて必要とされる、小さなデータを低遅延で収集するためのデータレート(1kbps未満)を、本技術では満たします。

スマートメータリングやリモートモニタリングなど農林水産業から商業、工業まで幅広い産業向けの大規模センサーネットワークへの応用が可能です。知財・ノウハウのご提供や技術指導など、ご相談を承ります。


図1

関連情報

プレスリリース:2022.04.11. 500台のIoTデバイスによる大規模無線通信実験に成功

F.Peperetal., IEEETrans.onGreenCommunicationsandNetw.,Vol.5,No.4,pp.1856-1868(2021)

K.Leibnitzetal.,Proc.MUSICAL2021,Ed.Haraetal.,LNICST(Springer),Vol.419,pp.693-706(2022)

*本研究は総務省の戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE課題番号JP205007001)実施した研究成果を基にしています。

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