地球は大きな磁石で出来ている天体の1つです。地球の磁場は、太陽から吹いてくるプラズマの風、太陽風との相互作用によって変形し、地球磁気圏を形成して
います。
磁気圏の中では太陽風との相互作用によるプラズマの対流運動によって、様々な電流が流れています。太陽から高速太陽風やCME(コロナ質量放出)現象が地 球に到来すると、地磁気嵐などのじょう乱現象が発生して電流系が発達し、その影響が地磁気変動として観測されます。すなわち、地磁気変動を観測すること
で、じょう乱現象に伴なう磁気圏内の電流系変動をモニターし、分析することができるのです。磁気圏内のグローバルな電流系をモニターするためには、地磁気 を局所的に観測しているだけでは不十分で、その観測ネットワークを地球全体に広げる必要があります。
当グループでは独自に開発したリアルタイムデータ収集装置を実装した地磁気観測ネットワークを展開すると同時に、国際的な協力体制に基づいた地磁気データ
のリアルタイム収集を行なっています。
さらに、収集した地磁気データを用いて地磁気じょう乱現象を詳細に解析したり、電離層電流やエネルギー流入量変動を推定する等の地磁気データの高度利用に
関する研究を行なっています。
国際組織INTERMAGNETの一員として、主に気象衛星「ひまわり」がカバーする領域の地磁気データの収集・配信を担当しています。
地名 |
観測所コード |
地理緯度 |
地理経度 |
磁気緯度 |
磁気経度 |
国 |
協力機関 |
Furstenfeldbruck(フルステンフェルドブルック) |
FUR |
48.17 |
11.28 |
48.38 |
94.61 |
ドイツ |
LMU |
Tihany(ティハニー) |
THY |
46.90 |
17.89 |
45.99 |
100.46 |
ハンガリー |
ELGI |
女満別 |
MMB |
43.90 |
144.20 |
35.16 |
211.00 |
日本 |
JMA |
柿岡 |
KAK |
36.23 |
140.18 |
27.18 |
208.50 |
日本 |
JMA |
Guam(グアム) |
GUA |
13.59 |
144.87 |
5.30 |
215.64 |
アメリカ |
USGS |
Alibag(アリバグ) |
ABG |
18.63 |
72.87 |
10.18 |
146.15 |
インド |
IIG |
Hermanus(ヘルマナス) |
HER |
-34.43 |
19.23 |
-33.92 |
83.68 |
南アフリカ |
HMO |
Martin de Vivies |
AMS |
-37.8 |
77.57 |
-46.40 |
144.27 |
フランス |
BCMT |
Dumont d'Urville(デュモンデュルビル) |
DRV |
-66.67 |
140.00 |
-74.63 |
231.45 |
フランス |
BCMT |
Vostok(ボストーク) |
VOS |
-78.45 |
106.87 |
-88.86 |
163.98 |
ロシア |
AARI, UMICH |
当グループでは、京都大学及びロシアやアメリカの研究機関と協力して、リアルタイムAE指数の作成の最大の障害となっていたシベリア域の地磁気観測ネット
ワークを構築しています。
地名 |
観測所コード |
地理緯度 |
地理経度 |
磁気緯度 |
磁気経度 |
国 |
協力機関 |
Amderma(アムデルマ) |
AMD |
69.5 |
61.4 |
61.7 |
147.7 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
Dixon(ディクソン) |
DIK |
73.5 |
80.6 |
64.2 |
162.6 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
Norilsk(ノリルスク) |
NOK |
69.4 |
88.1 |
59.8 |
166.4 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
Cape Chelyuskin(ケープ チェリュシュキン) |
CCS |
77.7 |
104.3 |
67.7 |
178.0 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
Tixie Bay(テキシーベイ) |
TIK |
71.6 |
129.0 |
62.1 |
194.1 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
Pebek(ペベック) |
PBK |
70.1 |
170.9 |
64.1 |
224.0 |
ロシア |
AARI, IDG, APL, GI |
日本の経度領域における地磁気リアルタイム観測の空白域をカバーするために、独自に開発したリアルタイムデータ収集装置を組み込んだ磁力計を世界各地に設
置して観測を行なっています。
地名 |
観測所コード |
地理緯度 |
地理経度 |
磁気緯度 |
磁気経度 |
国 |
協力機関 |
King Salmon(キング サーモン) |
KSM |
58.68 |
203.35 |
58.01 |
257.88 |
アメリカ |
GI |
Magadan(マガダン) |
STC |
59.97 |
150.86 |
52.12 |
213.82 |
ロシア |
IKIR |
St.Paratunka(パラツンカ) |
PTK |
52.94 |
158.25 |
45.58 |
221.13 |
ロシア |
IKIR |
沖縄 |
OKI |
26.75 |
128.22 |
16.87 |
198.41 |
日本 |
琉球大学 |
Yap(ヤップ) |
|
9.49 |
138.09 |
0.38 |
209.21 |
ヤップ |
NOAA |
Sao Luis(サンルイス) |
SLZ |
-2.60 |
315.78 |
6.69 |
27.52 |
ブラジル |
INPE |
Santa Maria(サンタマリア) |
SMA |
-29.45 |
306.17 |
-19.45 |
16.34 |
ブラジル |
INPE |
AE指数はオーロラ帯の十数箇所の地磁気データを用いて作成される指数で、オーロラ活動に伴なう電離層電流の強度変動をモニターするのに適しています。当
グループでは、京都大学及びロシアやアメリカの研究機関と協力して、リアルタイムAE指数の作成の最大の障害となっていたシベリア域の地磁気観測ネット
ワークを構築しています。Dst指数は中緯度4箇所の地磁気データを用いて作成される指数で、地磁気嵐に伴なう赤道環電流の強度変動をモニターするのに適 しています。これらを準リアルタイムで算出し、オンラインデータベースとして公開しております。
CGIを用いたWebベースのオンラインデータベースです。当グループが収集した世界各地の地磁気データのプロット図をinteractiveに表示する ことができます。
注意)当グループが提供しているデータは準リアルタイムに収集しているために、補正や較正が必ずしも十分ではない場合があります。詳細な解析や論文 発表等に用いる際にはご注意ください。
京都大学地磁気世界資料解析セン ター
東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻
名古屋大 学太陽地球環境研究所(STEL)
アラスカ大学地球物理学研究所(GI)
ジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(JHU/APL)
ロシア極地研究所 (AARI)
IDG