システム開発グループステータスレポート

木内 等

開発状祝

K−4VLBIデータ収集システム

VLBIで受信する信号は、極度に徴弱であるため基線決定には大量のデータを必要とす る。そのため高密度、高速度、大容量のデータを扱うのがVLBIの宿命といえる。VL BI技術が確立するにしたがい多方面に応用されるようになり、従来の限られだ観測所だ けでなく離島などでの移動実験も行われつつある。この持果、運搬・移設が容易で、かつ 操作性に優れた観測システムが望まれるようになった。通信総合所究所では、現在までに K−1、K−2、K−3と3世代のVLB1データ収集システムを開発してきた。現在使 用されているK−3システムでは、大陸間の距離を3cm以下の誤差で測定でき、プレー トテクトニクス理論で推定されていた大陸移動速度を実測により実証した。しかしながら 、K−3システムは大型であり、可搬型としての使用には適していない。現在のK−3シ ステムは、汎用性に富みあらゆる応用が可能となっているが、反面、適用においては専門 的な知織を必要とする。K−4システムは、高密度データレコーダを核とし、入出カイン ターフェース装置により従来のVLBI観測装置、および相関器にインターフェース可能 である。K−4型VLBIシステム開発にあたり、小型、高密度化のために、K−3シス テムの性能を維持しながら冗長な部分を排除し、操作の簡単なものを志向した。また高密 度・大容量データ記録装置として、カセットテープを用いた回転ヘッド方式(ヘリカルス キャン方式)の記録装置(ANSI ID-1 Format : American National Standard 19 mm type ID-1 Instrumentation Digital Cassette Format)を採用した。K−4システムの バックエンド部は、ビデオ変換器と16ch多周波発振器、入力インターフェース、およ び出カインターフェースにより構成されている。K−4システムでは、ピデオ変換器が2 ch分増えているにも関わらず、K−3システムに比ベて重量で1/3、体積で1/5に 抑えられ小型化されている。観測時のコヒーレンスロスは、5%以下に抑えられている。 相関時は、同期運転が自動的に行われ多局の相関に威力を発揮する。

K−4システムは、南鳥島、南大東島などの国内リモート局を始め、南極昭和基地、イタ リア、ドイツ、オーストラリアなど外国に於いても運用実績をあげている。


図1:観測局


図2:相関局




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