2014/4/22, 5/14, 5/30の24 時間測地VLBI実験のデータを使ったクロック推定値の比較:(NICT -- NMIJ):

VLBI,GPSとBIPMのUTC(x)を比較してみた。(NICT -- NMIJ).
 
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BIPMの各機関のUTC(x)比較サイトよりNMIJと NICTのUTCのFinal値及びRapid値を取ってきて、VLBIの観測を行った日程 (2014.4.22, 2014.5.14, 2014.5.30)の期間のNMIJ-NICTのUTCの差について、 GPS-PPP解析の結果(by 瀧口さん) (以下GPS All in View:GPS-AVと略す)をあわせて表示したもの。 GPSの比較結果の オフセット値はBPIMの結果とあわせて表示 できるように適当に上下させている。
GX14112(4/22-23) GX14134(5/14-15) GX14150(5/30-31)
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2014.4.22(gx14112)のVLBIによるクロック推定 結果とGPS-AV、BIPMのUTC 比較。GPS,VLBIの比較結果の絶対値は不定なので、BIPMの比較結果とあわせて 表示するため、任意のオフセットを入れている。
2014.5.14(gx14134)のVLBIによるクロック推定結果と GPS-AV、BIPMのUTC比較. しかし、MARBLE1の観測時間が8 時間半程度しかなかったためABの組み合わせにするとMARBLE1の観測時 間8.5時間に制限されデータが短い。
2014.5.30(gx14150)のVLBIによ るクロック推定結果とGPS-AV、BIPMのUTC 比較

推定条件を変えた場合のVLBIのCLOCK推定値
GX14112(4/22-23) GX14134(5/14-15) GX14150(5/30-31)
VLBI解析で局位置推定の有(StEst)無(StFix)、大気推 定を1時間ごとの折れ線推定  した場合とオフセットレートのみの場合(Atm1)、OAOB基線の解析でA,B 局のクロックを推定しその差をとったもの(OB-OA)を比較している。 大局的にはどれも大きな違いはない。全体クロック変化は、GPSの推定 結果と整合している。
VLBI解析で局位置推定の有(StEst)無(StFix)、OAOB基線の解析で求め たA,B 局のクロック差をとったもの(OB-OA)を比較している。 大局的にはどれも大きな違いはない。
局位置推定の有(StEst)無(StFix)、 大気推定を1時間ごとの折れ線推定 した場合とオフセットレートのみの場合(Atm1)、OAOB基線の解析でA,B 局のクロックを推定しその差をとったもの(OB-OA)を比較している。 大局的にはどれも大きな違いはない。

解析残差の分布
GX14112(4/22-23) GX14134(5/14-15) GX14150(5/30-31)
OA,OB基線の解析残差 (OA,OB) とその結果を使ってAB基線のデータを作成し、CALC/SOLVEで 解析を行った結果(AB)の最小自乗推定残差の分布。 OA(RMS 33ps),OB(RMS 29ps)の分し布に対して AB(RMS 47ps)の分布が広がっていることが確認されている。
残差分布。OA(RMS 29ps),OB(RMS 42ps)の分布に対して AB(RMS 44ps)の分布が広がっている。OAのデータ(8.5H)はOBのデータ (25H)よりデータ数が少なく、若干分布が偏っている。
残差分布。OA(RMS 35ps),OB(RMS 32ps)の分布に対して AB(RMS 50ps)の分布が広がっている。

推定パラメータを変えたときの残差分布
GX14112(4/22-23) GX14134(5/14-15) GX14150(5/30-31)
推定パラメータの多少によっ て、残差の分布(ばらつき幅)は多少変化する。例外もあるが一般には(局位置、大気、など) 推定パラメータが多い場合にはこれらのパラメータでFit吸収され残差 は小さくなっている。
  1. OA,OBのデータからAB基線のデータを合成して解析を行いました。 本来のGala-V小型アンテナ同士の周波数比較 の構想どおりの方法で、 OA,OB基線の解析結果と、だいたい矛盾なさそうなので、うまく行っているもの と思います。
  2. 実際に差の分だけ残差が若干大きくなる(sqrt(2)程度)ことも確認されました。
  3. VLBIで推定されたクロックの差(原子時計の差:UTC(NMIJ)-UTC(NICT)は GPSの結果とも、BIPMの最終結果とも、矛盾がないので問題はないと思います。
  4. 遅延の精度そのものの精度は、GPSと同程度です。これはX-band1バンドだけな ので、広帯域のバンドを増やして、もう少しよくならないかと期待しています
  5. 測地解析の結果得られた局位置をアプリオリにしているおかげもあって、推定 結果でVLBIの推定パラメータ(局位置、大気など)のパラメータを推定してもし なくても、ほとんど同じClock+残差の結果となっているので、解析のやり方で、 クロック差の推定が変わることもあまりなさそうです。安定でよかった。

GX14177(6/26-27)の実験データ