簡易型時刻比較

放送衛星を仲介とした時刻同期の研究

 情報通信研究機構では、標準電波やインターネットなどを利用して日本標準時の配信を行っています。 一般の生活で利用する時刻の情報としては、標準電波などの精度で十分ですが、近年の電子商取引やスマートグリッドなどでは、より高精度な時刻同期手法が望まれています。

 高精度な時刻同期を行う手法としては、通信衛星を仲介とした方法や、GPS 信号の搬送波位相を用いた方法などあるのですが、装置が高価なことと、時刻同期に特殊な技術が必要になることなどから、一般の利用には向きません。 そこで、標準電波などでは同期精度が不足する利用者に、より簡易的な方式で高精度な時刻情報を配信する研究を行っています。

 簡易的な方式のひとつとして、放送衛星の信号を仲介とした時刻配信方法を検討しています。 この方式では、放送衛星の信号と UTC(NICT) の時刻差を測るとともに、静止衛星の軌道も位置も測定し、この情報をインターネットなどを仲介として利用者に配信することで、利用者は自分の持っている時計を UTC(NICT) に同期することができます。




- 参考文献 -
1. 後藤,他,電子情報通信学会論文誌B, J99-B, 11, 2016