卒業論文要旨

複数端末からの同一仮想空間内におけるモデリング操作の実現


本研究は、複数の人間がネットワークを通じて仮想的な同一世界に集い、その中で様々な活動を行える環境の実現を目指している。複数の人間との協調作業を、仮想空間内において行うことができれば、危険を伴う作業の訓練や、産業製品などの多人数での試作・検討を効果的に行うことが可能となる。また、インターネットを利用することにより、遠隔地の人同士が同じ場所に集うことなく共同の作業を行うことも可能となる。

今回、このような協調作業システムの具体的なアプリケーションの一例として、コンピュータグラフィクスにより生成された3次元の同一仮想空間内に存在する仮想物体に対し、複数の端末から同時にモデリングを行える操作環境を実現した。行なえるモデリング操作としては、頂点の生成・移動、面の生成・着色といったものがある。本システムは、それぞれの端末においてモデリングを行うための機能(クライアント)と、各端末の仮想空間の状態を同一に保つための機能(サーバ)とで構成され、それら間でプロセス間通信を行なうことによって複数端末からの入力制御を実現している。それぞれの端末では、同一の仮想空間に存在する仮想物体に対してモデリング操作を加えることができ、物体に操作が加わり形状の変化が起きる際には、変更の種類と変更に必要な情報からなる変更情報を生成し、通信を行う。各端末から送信されるすべての変更情報はサーバに対して送られ、サーバは到着順に変更情報を処理した後、すべての端末へと変更情報を一斉に送信する。サーバから送られてきた変更情報は、各端末で到着次第ただちに処理される。各端末はサーバから送られてくる変更情報を基に、仮想物体の形状の変更を行い、映像に反映させる。