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視覚障害者の移動に新たな選択肢を。「AIスーツケース」でバリアフリー歩行を目指す

1 当事者の発想から生まれたスーツケース型のロボット

「AIスーツケース」は、どのようなツールなのでしょうか。

高木啓伸さん(以下、高木):「AIスーツケース」は、視覚障害者の歩行を支援する自律型の誘導ロボットです。スマートフォンであらかじめ設定したエリア内の目的地をセットすると、周辺の人や障害物を避けながら自動的に動き、安全に利用者を目的地まで誘導します。

例えば、「AIスーツケース」に連動させたスマートフォンに「一番近いコンビニに連れて行って」と話すと、一番近いコンビニまでの道順を自動で導き出し、誘導してくれます。視覚障害者は、「AIスーツケース」の持ち手から伝わる振動や、スマートフォンから発せられる音声などで周囲の環境を確認しながら、AIスーツケースの動きに従って安全に目的地へたどり着けます。

現在実証実験中の「AIスーツケース」は、市販のスーツケースを改造し、3次元形状をレーザーで計測するセンシング機器「LiDAR(ライダー)」、振動を利用して触覚をフィードバックする技術「触覚デバイス」、被写体までの距離を測定できる「深度カメラ」、画像処理を得意とするコンピューター「GPU」などの最新技術を数多く搭載しています。

実証実験中の屋内型「AIスーツケース」。目的地を入力するスマートフォン、スーツケースの上部についている円筒形のセンサー「LiDAR(ライダー)」で周辺の人や障害物を認識

実証実験中の屋内型「AIスーツケース」。目的地を入力するスマートフォン、スーツケースの上部についている円筒形のセンサー「LiDAR(ライダー)」で周辺の人や障害物を認識

屋内型「AIスーツケース」の内部

屋内型「AIスーツケース」の内部

「AIスーツケース」開発のきっかけについて教えてください。

2017年頃、現在日本科学未来館の館長を務める浅川智恵子が、米国カーネギーメロン大学で開発をはじめました。浅川は小学生の時に遭った事故が原因で失明し、視覚障害のある当事者としてアクセシビリティ技術を研究していました。当時、大学で先端技術に触れて、「今なら視覚障害者を誘導する実用的なロボットが作れるはずだ」と考えたそうです。

人を誘導するロボットとして望ましい形状を模索した結果、一歩先を進んでくれるスーツケース型が良いのではないかと思いつきました。スーツケースなら街中を一緒に歩いても不自然ではない点もポイントだったそうです。

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