IT機器を入学試験で使えるように、日本マイクロソフトと共同で、筆記に障害のある子どもがパソコン入力をするときに適正に受験できるように支援するソフトLimeを開発し、2012年に無償公開しました。テクノロジーを活用することで不正をなくすこともできます。その方法も開発・提案しています。
Limeを使うと、特定の文字の変換ができないようにすることができます。漢字の書き取り問題に出題されている漢字を表示させないようにすることができるのです。変換不可に設定していない漢字については、自動変換が可能ですが、どのような漢字を自動変換したか、履歴を取ることができます。入学試験終了後に大学がその履歴をチェックすれば、パソコンが適切に利用されていたかどうかを判断できます。
DO-ITJapanに参加すると、今までは機器を使ったら入学試験を受けられないと思っていた子どもたちが、より積極的に機器を使うようになります。私たちが関わっても大学の入学試験の際の機器の使用が100%認められるわけではありませんが、その子どもが機器を使うとこれだけ能力が発揮できるというデータを取って、それを合わせて志望大学に提出します。科学的な証拠をこちらで用意するのです。
障害や病気がある子どもは、障害のない人と同じようになりたいと思い、勉強もとてもがんばっています。しかし、書くことが大変な人は、授業の内容を全部書き取ることはできません。また聞こえない人には要約筆記がつきますが、学生は完璧でなくても我慢しています。授業中に先生が板書したものを写真に撮ればいいと思いますが、それを認めない先生もいるのです。しかし、そんなにがんばったり、我慢しなくても、IT機器を使えばいいのです。だから、わたしたちは「そんなにがんばらなくてもいいよ。IT機器を使えばいい」と伝えています。
障害や病気をかかえる人にとって、ITを活用することは、自分の力を発揮するときの強力なツールになります。たとえば、Windowsのパソコンにもアクセシビリティの機能がついているのですが、気付かず活用していないことも多いのです。
DO-ITJapanでは、パソコンの機能と一人ひとりに合わせた身近なIT機器を組み合わせることによって、その子どもが抱える困難を少なくすることができると考え、ITを積極的に活用することを勧めています。ITの活用を推進するために、その人の困難に合わせたIT機器の設定やアドバイスをしています。日本マイクロソフト株式会社や富士通株式会社、ソフトバンクグループなど企業にスポンサーになっていただき、機材の提供を受けています。