日本のVLBI史(初期及び発展期)

 

「ハワイが年間8cmの速度で日本に近づいている」とか、「地球の直径の大きさに 相当する巨大電波望遠鏡の分解能で準星を観測した」、など耳にしたことがあるでしょう。大陸間の距離をcm単位 で測る能力を持ち、また、月に立つ人を見分ける分解能(ミリ秒角)で天体観測できるこの技術はVLBIと呼ばれ、 1970年頃からカナダや米国と並んで日本の研究・技術者たちが開発に挑み、日本で大きく発展した技術です。 この資料では、初期及び発展期における基礎的な試験システムの開発から国際実験の成功まで7年に及ぶ悪戦苦闘の 様子や、その後の世界を驚かせた数々の観測と成果を紹介します。

現在(2015年)、日本でのVLBIシステムの開発開始から既に40年を経ており、 当時の貴重な資料を残すため、旧郵政省電波研究所鹿島支所第3宇宙通信研究室のメンバーを中心にした「日本の VLBIの初期及び発展期の資料収集と記録を残す会」が2013年に結成されました。本資料は同研究所OB、国土地理院 などの関係機関(OB)や関連会社の方々の協力の下、会のメンバーによる編集により完成したものです。

平成27年7月

日本のVLBIの初期及び成長期の資料収集と記録を残す会

VLBIの広場

デジタルVLBI資料室
                   
写真
イベント(準備中)
報道発表 (準備中)
動画・その他

概要

VLBI(超長基線電波干渉法)は代表的な宇宙技術の一つとして、電波天文学、測地学や宇宙科学などにおいて、 これまで新たな研究分野を開拓し、また現在も新しい観測技術としてこれらの分野を牽引する重要な役割を 果たしています。カナダや米国で始まったVLBIは1970年代後半に入り日本でもシステム開発が開始されました。 開始後、日本の研究・開発は目覚しい発展を遂げ、わが国が開発した観測システムは今や世界をリードするに 至っていると言っても過言ではありません。それを踏まえ、日本におけるVLBIがどのように発展してきたかを 初期及び発展期に関して記載しました。

目次 

前書き
1. 日本におけるVLBI技術のはじまりとK-1システムの開発
2. 高精度VLBIへのステップアップとK-2システムの開発
3. K3 VLBI;開発研究(システムレベル実験の実施とその成果まで)
3.1 K-3の歴史と概要
3.2 VLBI庁舎完成
3.3 アンテナ・給電系(準備中)
3.4 フロントエント?
3.5 K3VLBIシステム用水素メーザの研究開発
3.6 K-3バックエンド
3.7 データレコーダ
3.8 相関器の開発(準備中)
3.9 計算機・データベース
3.10 ラジオメータの開発(準備中)
3.11 アンテナ・機器制御(準備中)
3.12 相関処理ソフト(準備中)
3.13 バンド幅合成
3.14 モデル計算(VLBIにおける物理の応用)
3.15 パラメータ推定
3.16 国際VLBI実験の先陣争い
3.17 日米システム互換性確認実験の成功
3.18 日米システムレベル実験
3.19 KシリーズVLBIシステムの名前の由来
3.20 K-3開発の意義
3.21 NASA クラスタル・ダイナミック・プロジェクトへの参加
3.22 地理院VLBIの初期及び発展期
3.23 遅延予測値計算プログラムKAPRIへの緯度観測所の貢献
4.K-3時代;VLBI実験(日米実験等のK-3を用いた各種実験の実施とその成果)
4.1 日米実験の開始(準備中)
4.2 プレート運動の検出
4.3 漫画「ハワイ日本に接近中」
4.4 VLBI,SLRとGPSの競争
4.5 VLBI衛星軌道決定
4.6 日米実験
4.7 日独実験
4.8 日中実験(準備中)
4.9 日伊実験
4.10 日豪実験(準備中)
4.11 国際時刻比較実験
4.12 地理院との国内実験(準備中)
4.13 南極VLBI実験(準備中)
4.14 小型可搬局による実験(準備中)
4.15 地球回転実験
4.16 パルサーのVLBI観測
4.17 TDRSによるスペースVLBI実験(準備中)
5. K4 および KSPシステム (準備中)
6. 受賞・エピソード
6.1 エピソード
6.2 受賞
7. VLBI関連学位論文
準備中 
編集後記
VLBI原稿全体