第88回 KARCコロキウムのご案内

第88回 KARCコロキウムは終了しました。ご参加ありがとうございました。


開催日時 2007年10月10日(水)  14:00〜16:00
開催場所 未来ICT研究センター 第1研究棟 2階 小会議室
講演 「骨導超音波知覚の解明と重度難聴者のための新型補聴器への応用に関する研究」
講演者 中川 誠司 先生
(独立行政法人産業技術総合研究所 人間福祉医工学研究部門主任研究員)
講演概要 骨導で呈示された周波数 20,000 Hz以上の高周波(骨導超音波)であれば、聴覚健常者はもとより、重度感音性難聴者にも知覚されることが報告されている。通常の音(気導音)とは異なるメカニズムの存在が示唆されるものの、詳細は長く不明のままであり、知覚現象の存在自体に否定的な見解も示されていた。我々は脳磁界計測を利用して骨導超音波が重度難聴者にも知覚可能であること、さらには、骨導超音波を振幅変調することによって重度難聴者にも音声伝達が可能であることを客観的に証明した。また、神経生理計測(脳磁界・脳波計測、末梢電位計測、PETなど)、聴覚心理計測、音響物理計測、さらにはコンピュータ・シミュレーションなどを用いて知覚特性や神経生理メカニズムの解明に取り組んできた。その結果、骨導超音波であっても通常の聴覚路によって処理されるものの、末梢メカニズム、特に蝸牛の基底膜および有毛細胞の振る舞いには特異性が存在する可能性が明らかになってきた。さらに、知覚特性や神経生理メカニズム研究で得られた知見を利用して、この現象を応用した重度難聴者のための新型補聴器(骨導超音波補聴器)の開発に取り組んでいる。現在のところ、試作した骨導超音波補聴器を用いて重度難聴者(両側の最小可聴音圧が 100 dB 以上)の約半数が何らかの音を知覚可能、約3割が簡単な単語を同定可能という画期的な成果が得ている。補聴器メーカーや医療機関との連携のもと、近い将来の実用化が期待される。
使用言語 日本語
参加費 無料
担当者 情報通信研究機構 未来ICT研究センター
バイオICTグループ 脳情報プロジェクト 南 哲人