第102回KARCコロキウム開催報告


第102回KARCコロキウムの様子


植物は、静的なようであるが、細胞の中では実は活発に物質の輸送を行う運動を発生している。植物の細胞内物質輸送では動物の筋肉やアメーバ運動の運動機構の基礎となる、アクチンフィラメントをメインレールとしミオシンがその上を滑り運動する独特の交通網が発達している。植物内にはアクチン系モーターは植物特異的ミオシンVIIIとXIの2クラスしか存在しないが、高等植物ではクラス内でメンバーの多様化が進んでいる。メンバー個々の機能多様性が、植物の細胞内交通を制御している可能性が考えられる。今回、富永博士は、植物において分子遺伝学実験のモデル植物、シロイヌナズナから、全ミオシンメンバー全長のクローニングに成功し、得られたミオシンcDNAに蛍光タンパク質を融合し、植物細胞での発現を行った研究成果について講演下さいました。発表には多くのライブイメージングを示して下さり、メンバー特異的に形状やサイズの異なる細胞小器官に局在し、固有の運動を行っていること明らかにした研究成果を話して下さいました。博士の研究はまだまだ発展性があり、植物ミオシンメンバー間での広範な機能分担を示す結果に聴講者の興味を引き、活発に議論がなされました。


参加人数 12名 (内部 12名、外部 0名)