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情報通信研究機構
データ駆動知能システム研究センター

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データ駆動知能システム研究センターでは、Web等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや、価値ある仮説を柔軟な入力を元に提示できる技術を開発しています。ますます複雑化していく現代社会において、一見かけ離れた情報間の予想もしなかった繋がりが非常に重大な帰結をもたらす事例がますます頻繁におきています。我々の目指す技術はそうした情報間の組み合わせをユーザに分かりやすい形で入手可能にするものです。より具体的には、文の同義性やテキストに書かれた因果関係などの事象間の意味的関係を元に、ユーザの多様なニーズに応えられる情報やその組み合わせ、あるいは仮説を、Web等に存在する膨大な情報源をもとに生成する技術です。こうした技術の開発には先進的な言語処理技術、膨大な言語資源が必要となりますが、これまでに開発してきた最先端技術や、関連分野を研究する公的機関としては日本最大級の計算リソースを用いてこれらの研究開発に挑んでいます。

代表的な成果は以下の4点です。1. 大規模Web情報分析システムWISDOM X2. 次世代音声対話システムWEKDA3. 対災害SNS情報分析システムDISAANA4. 災害状況要約システムD-SUMM

NEWS & TOPICS

報道等

「高齢者介護支援マルチモーダル音声対話システムMICSUS」のHANAZONO EXPOへの出展に関する記事が、毎日新聞大阪版に掲載されました (毎日新聞 大阪(19面) )
AIと雑談、試してね! あす開幕 花園エキスポに最先端技術集結 (外部サイトのページが開きます)
「高齢者介護支援マルチモーダル音声対話システムMICSUS」に関して、同時通訳システムと合わせて報道陣に公開した様子を紹介する記事が、電波新聞に掲載されました (電波新聞 )
NICT 多言語への同時通訳システム 、2025年の実用化へ研究成果公開 (外部サイトのページが開きます)

高齢者向け対話AIシステムMICSUS(ミクサス)を活用した介護モニタリングの実証実験を実施、遠まわしな言い回しなどを含む様々な発話に対する高精度な意味解釈を実現し、介護者の業務負荷を軽減できることを確認しました ()

NICTは、KDDI、NECソリューションイノベータと共同で、日本総研の協力を得て、2022年6月28日から2023年1月28日まで、内閣府SIP第2期に採択され研究開発している高齢者介護支援用マルチモーダル音声対話システムMICSUSを活用した介護モニタリングの実証実験を実施しました。

MICSUSは、異次元の高齢化が進み介護人材の逼迫が喫緊の課題となる中、現在は人間の介護者が月一回程度面談で行なっている、介護モニタリングと言われる高齢者の健康状態や生活習慣のチェックの一部を音声対話を通じて代替する対話システムです。 また、Web情報を用いた雑談も行い、高齢者のコミュニケーション不足の抑制も狙っています。

本実証では、サービス付き高齢者向け住宅等の施設や自宅で生活する高齢者179名を対象に、MICSUSが組み込まれたぬいぐるみ型の専用端末やスマートフォンを介してMICSUSと面談(計927回)を行う実証実験を北海道から九州まで全国各地で実施しました。 総対話時間は95.3時間、一回の面談での高齢者の発話は平均14回程度で、実施後の高齢者のアンケートで5段階評価で平均4.2の高評価をいただくことができました。 またWebベースの雑談的応答に対しても、その半数以上に対して高齢者が笑顔を見せる、または積極的な興味を示す等、良好な結果が得られました。 介護モニタリングにおいては、高齢者の健康状態や生活状況の変化の情報を収集するための面談とその記録業務に介護者が要する時間を約7割削減することに成功、介護者の業務負荷を軽減できることを確認しました。

言語処理の部分では、音声認識誤りに頑健な独自開発のHBERTを300万件のオリジナル学習データでファインチューニングしたモデルを活用し、遠まわしな言い回しなどを含む様々な発話に対して高精度な意味解釈を実現しています。 今回の実証でも、高齢者の健康状態や生活習慣を適切かつ正確(精度約93%)に収集、雑談も含め、すべての高齢者の発話に対し高精度(精度約93%)で適切に応答することができました。

また、本件に関する記事が、複数のWEBメディアに掲載されています。

今後も、多数の民間企業と連携して本技術の社会実装に向けた強化を進めるとともに、さまざまな社会課題の解決、回避に向け、言語、音声の高度かつ高精度な意味的処理の実現を目指して研究開発を行います。 研究開発成果を、要素技術単位でKDDIをはじめとするさまざまな企業、組織にライセンス等を通して提供し、技術の社会実装に取り組んでいきます。

             高知県日高村での実証実験の様子(KDDI提供)

沿革

2008年(平成20年)
知識創成コミュニケーション研究センター 言語基盤グループが発足(グループリーダー 鳥澤健太郎)。
音声・言語処理の基盤となる大規模な言語資源の構築・公開、及びその作成・活用に資する言語処理技術を研究。その成果として音声質問応答システム「一休」などのシステムを開発。
2011年(平成23年)
ユニバーサルコミュニケーション研究所 情報分析研究室が発足(室長 鳥澤健太郎)。
Web等に存在する大量のテキストを深く意味的に分析し、情報の価値ある組み合わせや、価値ある仮説を柔軟な入力を元に提示できる技術の研究、開発。
2015年(平成27年)
大規模Web情報分析システム WISDOM Xの試験公開を開始(3月31日)。対災害SNS情報分析システムDISAANAの試験公開を開始(4月8日)。
2016年(平成28年)
ユニバーサルコミュニケーション研究所 データ駆動知能システム研究センターが発足(センター長 鳥澤健太郎)。
次世代音声対話システムWEKDAの研究開発を開始。 災害状況要約システムD-SUMMの試験公開を開始(10月18日)。
2018年(平成30年)
SIP第2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」において国立研究開発法人防災科学技術研究所、株式会社ウェザーニューズ、LINE株式会社と協力して、SNS上で災害関連情報の収集、配信等を自律的に行う防災チャットボットSOCDAの研究開発を開始。
SIP第2期「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間技術」においてKDDI株式会社、NECソリューションイノベータ株式会社、株式会社日本総合研究所と協力し、次世代音声対話システムWEKDAの雑談応答技術も活用しつつ、高齢者の健康状態のチェックや社会的孤立の回避を狙ったマルチモーダル音声対話システムMICSUSの研究開発を開始。
2021年 (令和3年)
WISDOM X深層学習版の試験公開開始。自動並列化深層学習ミドルウェアRaNNCをリリース(3月31日)。
研究センター長に大竹清敬が就任(4月1日)。

代表的な成果 1. 大規模Web情報分析システムWISDOM X 深層学習版

2021年3月31日より、Web60億ページの情報を基に様々な質問に回答することができる大規模Web情報分析システムWISDOM X(ウィズダムエックス)「深層学習版」の試験公開を開始しました。 2015年3月31日より試験公開しておりましたバージョンでは、Web40億ページの情報を基に「なに」「なぜ」「どうなる」といったタイプの様々な質問に回答することが出来ましたが、「深層学習版」では、新たに「どうやって」(How-to)型の質問にも対応しました。 これらの様々な質問応答を通して関連情報の全体像を迅速かつ容易に把握できるようにし、価値ある想定外の発見も容易にします。 WISDOM Xは、近年、重要性を増しているイノベーションやリスク管理といった不確実性に対処する作業において価値ある考えるヒントを提供できると考えています。

深層学習版の詳細につきましては以下のリンクよりプレスリリースをご覧ください。

Preview for figure 質問「AIが解決できそうな高齢化の問題は何がある?」への回答
質問「AIが解決できそうな高齢化の問題は何がある?」への回答
Preview for figure 質問「チーズとネギがあるけど、つまみになにをつくったらいいかな?」への回答
質問「チーズとネギがあるけど、つまみになにをつくったらいいかな?」への回答

代表的な成果 2. 次世代音声対話システムWEKDA

WEKDA (WEb-based Knowledge Disseminating dialog Agent) は、ユーザが入力した発話に対して、質問を自動生成し、WISDOM Xで回答を探し、応答を生成する音声対話システムです。 このシステムでは、例えば「iPS細胞ってすごいよね」「煮物が食べたい」といったユーザの音声入力に対して、「iPS細胞で何を見る?」「煮物に何が良い?」といった質問を自動生成し、その質問に対してWISDOM Xが提供する回答(「治療薬候補」「和風な朝御飯」等)を基に、「iPS細胞で肥大型心筋症の治療薬候補を見つけた」「焼き魚に玉子に煮物で和風な朝御飯も良し」といった応答を生成します。これらの質問は、システムの応答の背後にある自然な意図や動機といったものに対応します。ユーザは、こうした応答によって、価値ある知識を取得したり、近々の生活を豊かにするヒントを得ることが可能になります。 詳しくは以下の発表文献やプレスリリースをご参照ください。

WEKDA:Web40億ページを知識源とする質問応答システムを用いた博学対話システム 水野淳太, クロエツェージュリアン, 田仲正弘, 飯田龍, 呉鍾勲, 石田諒, 淺尾仁彦, 福原裕一, 藤原一毅, 大西可奈子, 阿部憲幸, 大竹清敬, 鳥澤健太郎, 第84回言語・音声理解と対話処理研究会資料, pp.135-142, 2018年11月. [PDF]*1

Preview for figure WEKDAの応答と背後にある自然な意図や動機
WEKDAの応答と背後にある自然な意図や動機
Preview for figure WEKDAによる対話例
WEKDAによる対話例
※ これらの対話例は開発中のものであり、現時点ではいかなる発話に対してもこのクオリティで応答ができるわけではありません。
*1 ここに掲載した著作物の利用に関する注意:本著作物の著作権は人工知能学会に帰属します。本著作物は著作権者である人工知能学会の許可のもとに掲載するものです。ご利用に当たっては「著作権法」に従うことをお願いいたします。
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代表的な成果 3. 対災害SNS情報分析システムDISAANA

当機構耐災害ICT研究センター応用領域研究室と共同で、「今、まさに発信されている」Twitter上の災害情報をリアルタイムで分析し、質問に回答する対災害SNS情報分析システムDISAANAを開発し、2015年4月8日より試験公開しています。スマートフォンからアクセスしますと、スマートフォン対応版をお使いになれる他、熊本地震時のTwitterデータを分析できる試用版もお試しいただけます。

Preview for figure 熊本地震での動作例
熊本地震での動作例
Preview for figure モバイル版での動作例
モバイル版での動作例

代表的な成果 4. 災害状況要約システムD-SUMM

災害状況要約システム D-SUMM は、Twitter上の災害情報を、わかりやすく整理、要約することによって、救援、避難等を支援するシステムです。DISAANAでは、「火災が発生している」「火事が起きている」など意味的に類似する被災報告が別々に出力されていましたが、D-SUMMでは、災害情報の意味的な分類を精査し、これらの報告をひとまとめにすることで、災害状況を、よりコンパクトかつ、わかりやすく提示することができるようになりました。エリア毎または、災害カテゴリー毎に災害情報を要約することができ、それらを地図上に表示することも可能です。2016年10月18日より試験公開しています。

Preview for figure D-SUMMによる被災報告の要約
D-SUMMによる被災報告の要約
Preview for figure D-SUMM による被災報告の要約の地図表示
D-SUMM による被災報告の要約の地図表示