研究成果
2014.7.15

長期記憶の“負の調節因子”を同定

 キイロショウジョウバエの雄は、求愛した相手の雌が既交尾の場合、強い拒否行動を受けて交尾することができません。この経験をしたあとは、数日にわたり雌にあまり求愛しなくなります。これを求愛条件付けと呼んでいます。この長期記憶が損なわれるものの一つに、RNA結合タンパク質をコードするorb2遺伝子の突然変異体があります。山元らのグループによって同定された別のRNA結合タンパク質をコードする遺伝子、lingererの突然変異アリルは、orb2変異ホモ接合体の求愛条件付けを優性に抑圧して、長期記憶を回復させることが分かりました。Lingererは、記憶の形成されるシナプスでの局所タンパク質合成を制御する新たな因子の候補として注目されます。


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図:強化されつつあるシナプスでLingererが局所タンパク質合成を制御する可能性を示す。

出典

Kimura, S., Sakakibara, Y., Sato, K., Ote, M., Ito, H., Koganezawa, M. and Yamamoto, D. (2015)

The Drosophila Lingerer protein cooperates with Orb2 in long-term memory formation.

J. Neurogenet. 29, 8-17.




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