私たちの研究室では、動物の行動が起こる仕組みを、分子(遺 伝子)・細胞(脳)・個体のレ ベルで解明していくことを目指しています。
前山元研究室メンバーの大手学(現・慈恵医科大学助教)は、キイロショウジョウバエを自然宿主とするWolbachia系統(WMel)を近縁種のオナジショウジョウバエに導入すると、卵巣内での卵細胞の極性が異常になるなど、激しい表現型が生ずることに着目した。極性異常の直接の原因は、卵の後極に蓄積して後方を決定する因子、OrbのmRNAにTomO(一つ前の「研究成果」を参照)が結合してその翻訳を間違った場所で開始させるためであった。TomOがorb mRNAに結合する結果、この早まった翻訳が起きる。卵は卵巣小管の一番後方に位置しているので、この場所に集結するorb mRNAに結合すればTomOを保持しているWolbachiaの菌体も卵に集積することができ、卵に入った状態でWolbachiaは次世代の宿主にうまく入り込めるのではないか、そう仮説を展開した。
Arch. Insect Biochem. Physiol. 2018;e21475. https://doi.org/10.1002/arch.21475
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