研究成果
2018.6.14

Wolbachia感染病徴が本来の宿主でない種で劇症化する原因を解明

 前山元研究室メンバーの大手学(現・慈恵医科大学助教)は、キイロショウジョウバエを自然宿主とするWolbachia系統(WMel)を近縁種のオナジショウジョウバエに導入すると、卵巣内での卵細胞の極性が異常になるなど、激しい表現型が生ずることに着目した。極性異常の直接の原因は、卵の後極に蓄積して後方を決定する因子、OrbのmRNAにTomO(一つ前の「研究成果」を参照)が結合してその翻訳を間違った場所で開始させるためであった。TomOがorb mRNAに結合する結果、この早まった翻訳が起きる。卵は卵巣小管の一番後方に位置しているので、この場所に集結するorb mRNAに結合すればTomOを保持しているWolbachiaの菌体も卵に集積することができ、卵に入った状態でWolbachiaは次世代の宿主にうまく入り込めるのではないか、そう仮説を展開した。


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図:WMelの感染によって極性が異常になったオナジショウジョウバエの卵室 (青:DNA、赤:F-actin、緑:Orb)。本来、緑に染まる卵細胞は後端(右端)にあるはず。大手原図。

出典

Ote, M. and Yamamoto, D. (2018)

The Wolbachia protein TomO interacts with a host RNA to induce polarization defects in Drosophila oocytes.

Arch. Insect Biochem. Physiol. 2018;e21475. https://doi.org/10.1002/arch.21475







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