テラヘルツ波スペクトルが測定できる高感度ヘテロダイン検出器

テラへルツ波のスペクトルを高感度、高周波数分解能、実時間で測定します

実証実験済

研究者より

テラヘルツ波(特に2-5THz)の発振器を開発している皆様方にとって微弱な信号を高感度、高周波数分解かつ実時間に測定できる本装置は大変有用なものになると思います。是非ご利用ください。

Beyond5G研究開発推進ユニットテラヘルツ研究センター
テラヘルツ連携研究室

概要

超伝導を利用した高感度ヘテロダイン検出器を研究しています。ヘテロダイン受信とは、受信信号(f1)と局部発振器信号(f2)をミキサによって低周波信号(f1-f2)に周波数変換してスペクトルを測定する方法です(図1)。

ミキサには、NICTで作製したホットエレクトロンボロメータミキサ(HEBM) (図2)、局部発振器には、THz量子カスケードレーザ(THz-QCL)又はマイクロ波の増幅・逓倍発振器(AMC)を用いています。HEBMの高速応答特性により、RFとLOの差周波が数GHzであれば信号を波としてとらえることができます。ミキサによって中間周波数(数GHz)に周波数変換された信号はアンプで増幅され、マイクロ波のスペクトラムアナライザでスペクトルが検出されます。私たちはこのシステムを開発し、実際にTHz波スペクトルの検出に成功しています(図3)。

この検出器の特徴は、THz波(特に他では測定が難しい2~5 THz)のスペクトルを高感度、高周波数分解能かつ実時間で正確に測定できることです。

図1 ヘテロダイン受信機の原理図 図3 検出された3 THz-QCLのスペクトル(左)と位相ロックへの応用例(右)
図2 HEBMデバイスとミキサマウント、準光学型(左)、導波管型(右)
図1 ヘテロダイン受信機の原理図 図2 HEBMデバイスとミキサマウント、準光学型(左)、導波管型(右) 図3 検出された3 THz-QCLのスペクトル(左)と位相ロックへの応用例(右)

提供内容・活用

TH波の発振器のスペクトルや周波数を詳細に観測したい場合にご利用いただけます。発振器出力は、数十pW程度以上あれば検出可能です。特定のTHz周波数で測定を希望される場合はご相談下さい。(LOの確認が必要です。)本検出器はTHz-QCLの位相ロック(図3)や、ガスセルによる分子放射電波スペクトルの検出(図4)に応用した実績もあります。

図4 検出されたメタノール分子からの2 THz帯放射電波スペクトル

関連情報

文献:

Y. Irimajiri, M. Kumagai, I. Morohashi, A. Kawakami, N. Sekine, S. Nagano, S. Ochiai, S. Tanaka, Y. Hanado, Y. Uzawa, and I. Hosako, “Development of a Superconducting Low-Noise 3.1-THz Hot Electron Bolometer Receiver,” IEEE Trans. THz Sci. Technol., vol. 5, no. 6, pp.1154-1159, Nov. 2015.

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