Beyond 5G向け電気光学(EO)ポリマー無線-光信号変換デバイス技術

  • #Beyond 5G(6G)
  • #光ファイバー無線
  • #RoF
  • #テラヘルツ波

特徴・優位性

  • 無機非線形光学材料と比較して大きなEO係数を有し、数百GHz以上の超高速光変調が可能
  • 予めポーリングを行ったEOポリマー膜を転写することで、高周波電磁波の吸収損失が小さな材料基板等を用いた高効率なデバイスの作製を実現

用途・応用分野

  • Beyond 5G(6G)向けテラヘルツ受信デバイス、無線-光信号直接変換デバイス等への応用
基礎実証済

概要

Beyond 5Gでは、100GHz以上の周波数の高周波電磁波を用いた無線通信が見込まれており、その実現に向けて、光ファイバーを用いて無線信号波形を光信号として伝送する光ファイバー無線(Radio-over-Fiber)が注目されています。光ファイバー無線では、端末との間で信号の送受信を行うリモートアンテナや、モバイルフロントホールの一部無線区間における送受信部において、無線信号から光信号への変換が必要になります(図1)。このような無線-光信号変換を実現するため、高性能かつ小型、低コスト、低消費電力なデバイスの開発が求められています。電気光学(EO)ポリマーは、無機非線形光学材料と比較して大きなEO係数を有するとともに、数百GHz以上の超高速光変調を可能にすることから、EOポリマーを用いることで無線信号から光信号への直接変換を行うデバイスの実現が期待できます(図2)。これまで、150 GHz以上の高周波電磁波を用いた直接光変調や無線伝送の実証に成功しています。

本技術は、高性能かつ小型、低コスト、低消費電力な無線-光信号変換を実現するための基盤技術であり、2030年代以降の社会実装に向けて研究を進めています。従来技術では、デバイス作製においてEOポリマー導波路部分に電圧を印加するため導電性のクラッドが必要でしたが、導電性のクラッドによる高周波電磁波の吸収損失などが課題となっていました。開発技術では、予めポーリングを行ったEOポリマー膜を転写することで、高周波電磁波の吸収損失が小さな材料基板等を用いた高効率なデバイスの作製が可能になりました。(2025年6月19日更新)

基地局とモバイルフロントホール、或いはリモートアンテナまでの間は、光ファイバーを通じて光信号をでの通信を行う。アンテナで光信号を無線信号に変換することで、端末と通信する
図1 Beyond 5Gで想定される信号変換の模式図
100ギガヘルツ以上のテラヘルツ無線信号を、レーザー光に乗せて直接光信号に変換できる
図2 電気光学(EO)ポリマーを用いた無線-光信号直接変換デバイスの模式図

関連情報

  • 特許: 7244924号、第7570130号、US 11194225 B2
  • 文献:
    • T. Kaji, I. Morohashi, Y. Tominari, M. Ohara, T. Yamada, A. Otomo, “D-band optical modulators using electro-optic polymer waveguides and non-coplanar patch antennas,” Opt. Express, 31, 17112−17121 (2023).
    • T. Kaji, I. Morohashi, Y. Tominari, N. Sekine, T. Yamada, A. Otomo, “W-band optical modulators using electro-optic polymer waveguides and patch antenna arrays,” Opt. Express, 29, 29604−29614 (2021).
    • T. Kaji, Y. Tominari, T. Yamada, S. Saito, I. Morohashi, A. Otomo, “Terahertz-wave generation devices using electro-optic polymer slab waveguides and cyclo-olefin polymer clads,” Opt. Express, 26, 30466−30475 (2018).

担当部門

未来ICT研究所 神戸フロンティア研究センター ナノ機能集積ICT研究室

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